詫びの品を2人で買いに行った「あの、水篠ハンター、道門は…どちらに?」
「あー…実は、その」
数刻前にちょっと水篠ハンターに呼ばれたんで、と言い残し消えた道門
その呼び出した水篠ハンターだけが現れ、道門の姿が見当たらず困惑する、今日中の書類を早く出して欲しいのだが、どこに行ったのか…
「その、落ち着いて聞いて下さいね」
「…はい?」
まさか出先で何かあったのか
思い詰めた顔をする水篠ハンターに緊張が走る、一体何があったのか
おもむろに両手を出すと、パリパリと音と光を放ちながら何かが出てくる
「その、道門…さ、ん…こうなっちゃいまして…」
「…………」
(いや、いやいやいやいや)
あまりの光景にダラダラと変な汗が噴き出る
水篠ハンターの両手には小さな鉢?水槽?があり中にはウニが一匹…え、ウニ?
「あ、あの?水篠ハンター?大変失礼ですが、その…頭を何処かに殴打などされましたか…?」
「い、いえ、特にないですが…」
「そ、そうですか…」
水篠ハンターが巫山戯る事など無い…なら、これは事実…?
落ち着け、犬飼晃…ゲートは未知の空間だ…あり得ないことが起こっても…なんら不思議でない…いや、でもウニ…???
ぐるぐると思考の海に潜ってしまい、水篠ハンターに呼ばれ仕方なく現実逃避から戻る
「大変失礼しました…あー…」
どう見てもウニでしか無い物体に言葉が出ずに間延びしてしまう
「お、俺のせいなんで取り敢えず今日はこのまま持ち帰りますね…」
「そうですか…コチラも手が離せないので道門のデスクに置いておくしかありませんから…ご迷惑かと思いますが、よろしくお願いします」
「いえ…戻ったらすぐ連絡します」
「よろしくお願いします」
再度空間に消え行く道門…もといウニを遠い目で見やりながら、提出予定の書類をどう誤魔化して期限を延ばすか必死に考えるばかりだ
どうやら今日も家には帰れなさそうだ
「どうだった、やっぱバレた?」
「普通に信じたぞ…」
「ウソでしょ…」
イケるイケるお前が言えば課長も信じるからと半分冗談混じりで押し付け向かわせたが、まさか上手く行ってしまいなんとも居た堪れない雰囲気になってしまったのは別の話である