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    hinata_aotetu

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    hinata_aotetu

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    同じく7月のイベントで公開していた双子新幹線の話

    3.くちなし ゆっくり、お誘い、甘い香り  東北新幹線と上越新幹線 かつてこの国には、高速鉄道の化身となる存在を選抜するための教育機関が存在した。そこに在籍する者は候補生と呼ばれ、鉄道の歴史や運行に関する知識はもちろん、国の顔ともいえる高速鉄道として必要となる教養まで広く学び身に着ける能力が求められていた。
     ダンスはその中で重要なカリキュラムの一つとされており、得意不得意が明確に現れる分野だ。
     座学実技ともにずば抜けた頭角を現し東北新幹線となった男にも不得意なことはあるもので、最初の大きな仕事である関係各所へのお披露目パーティが、彼にとって目下の悩みのタネだった。
     業務で着用する黒い詰襟ではなく特別に支給されたタキシードに身を包み憂鬱そうな東北の背中に、聴き慣れた声が掛けられる。
    「偉いさんのご令嬢の足を踏んづけなきゃ良いけどねぇ」
     振り返った先にいたのは、彼と同時開業予定の上越新幹線で、東北は何か言い返そうと口を開きかけたが、無言のまま俯いた。  
    自信がないのは事実で、逃げ出せるものなら逃げ出してしまいたい心境なのだ。
    「この僕があれだけ一緒に練習してあげたんだから。あとは堂々としていれば良いんだよ」
     大きな後ろ盾を持って高速鉄道に選ばれた上越は、その育ちの良さから教養においては他の候補生から頭一つ抜けていた。もちろんそれ以外の分野でも、コネだけに頼るのではなく陰で人一倍努力をしていたことを、東北も良く知っている。
     女性の動きも早々にマスターし、何やかんやと言いながらもダンスの練習に根気よく付き合ってくれたことは、本当に感謝しているのだ。
    「はい」
    「……何だ?」
     渡された一凛の花は、白いフェルトのような優しい風合いの花弁が特徴的なクチナシで、八重咲の華やかな品種である。 
    顔を近づけると、先ほどから漂っていた甘い香りの正体はこれだったのかと気が付いた。
     花を東北の胸ポケットにすっと入れ、恭しくお辞儀をした上越がふわりと微笑んで手を差し出す。
    「最後の練習しとこ。ほら」
     西洋では、ダンスのお誘いで渡されることが多いとされるクチナシの花。
    「ああ、頼む」
     東北がその意味を知っていたのかは定かではないが、お辞儀を返すと差し出された手をゆっくりと取った。
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    N えぬ

    MOURNING未完成です
    これ以上書けなくなったので供養
    この後に上手くくっつけていちゃいちゃさせたかった
    未完成 がたこまどむさぶ2Subdropを起こしかけてから数週間後。その後特に不調はなくcareもplayも今まで通りにやって貰った。ただ一つ変わったのは秋田の山形へ対する気持ちであった。最初に自覚したのはSubdropが起きてから数日後。山形とご飯を食べに行った日。ただ一緒にいるだけなのに幸せで心が満たされているような気がした。しかしその時の秋田はただの勘違いだと思った。playもcareもしてもらって、食事やほかのことに誘っても嫌な顔せずに乗ってくれる山形。それはきっと今後も円滑に進める為の山形なりの配慮なのだろう。自分たちは同僚で、契約関係なのだから。そもそもいくら周りが美人だと言っても秋田は男であり山形も同じである。男の自分が男の山形を好きになるなんておかしいと。その後またいつも通りに接した。つもりだった。気づいたら山形を目で追っていたし、一つ一つの仕草に目も心も奪われていた。今まで通り食事に誘うのも、careをお願いするのも妙に緊張して。そこで秋田は確信した。あぁ、本当に山形を好きになっちゃったんだ。と。しかし、相手にとって自分はただの同僚で契約関係がある人間という認識なのだろう。少し前まで自分もそうだったのだから。だから山形に対してこんな気持ちを抱いてはいけない。消し去ろうと決意をした。
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