【R18】不意の営巣(アルカヴェ鳥パロその③)ぽかぽかと窓から差す優しい陽気で目を開ける。
目覚めると、愛しい番の寝顔がすぐ傍にあった。
「……おはよう、アルハイゼン」
「……」
呼びかけても微かに身じろぎをするだけ。余程仕事で疲れていたのだろうか。それとも休日で甘えているだけか。とにかく、アルハイゼンはまだ夢の世界から離れたくないらしい。
「(ふふ、また寝癖がついてる……あとで直してあげよう)」
ぴょこんと変な方向に跳ねている前髪。あどけない寝顔を晒す彼だが、れっきとした猛禽類。今は人間の姿をとっているが、本来の姿は神々しさすら感じるほど立派な隼である。おそらく、普通の人間が元の姿を見たら腰を抜かして逃げ出すだろう。
人間に騙され、愛玩用として売られそうになったところを救出されてらから、もうすぐ一年がたつ。あの時の自分は誰かの番になることなど考えもしなかったし、かつて助けた若鳥が逞しすぎる成長を遂げて帰って来るなど夢にも思わなかった。
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