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    K(木苺潰す)

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    K(木苺潰す)

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    ※怪人タウラス=燐音(牡牛座)×スペードちゃん
    (スコルピオスト劇中劇設定)
    5/28イベントお疲れ様でした!
    差し入れのSSです。
    楽しんで頂けましたら幸いです。

    #燐一
    only

    「空蝉」仮宿にしている廃ビルの、割れた窓ガラスの隙間から飛び込んできたスペードのエースのトランプ。
    床に落ちたそれを拾った途端、
    「僕は『スペード』の天城一彩。僕を喚んだのはどこの誰かな?」
    トランプから煙と共に人が現れた。
    初見なら驚くだろうが、怪人にとっては慣れきった光景で。
    お決まりの文句と共に現れ、カードの持ち主に使役される存在。
    「怪人タウラス、……お前のお兄ちゃんだよ」
    使役する相手は誰でも良く、どんな命令でも聞く便利な道具。
    なぜだか弟は俺と同じ怪人ではなく、そんな存在としてこの世に生まれ落ちてしまった。

    「兄さん!何だか久しぶりだね」
    一彩が嬉しそうに笑う。
    「お前がトランプに戻ってフラフラ出かけちまうからだろ?こないだは怪人スコルピオに使役されてたって聞いたぜ?」
    「ウム!退却時に命令してくれなくて困ってしまったよ」
    眉を下げ不満だ、という態度をみせる一彩。
    「相変わらずお前は命令に縛られてンなァ。……そういう在り方の生き物だと思って俺はもう諦めちまったけど」
    一彩は全ての行動を命令によって縛られている。
    トランプの外では使役者の命令が無ければ動く事が出来ないからだ。
    「何か言ったかい?」
    小声で言ったせいで窓から吹き込む風で聞き取れなかったらしい一彩に誤魔化すように、
    「別に、お前と会えなくて寂しかったって言ったんだよ」
    そう伝えると、
    「それなら僕に命じて欲しい」
    名案だとばかりににっこりと笑う。
    「……命令、ずっと傍に居ろ。俺から離れるな」
    「了解したよ。トランプを手放さないでね。あなたがトランプを持っていてくれる限り、僕はその命令を遵守するよ!」
    こうして空蝉の命令は下された。

    本当は自らの意思で俺の傍にいて欲しい。
    俺を愛して求めて欲しい。
    だが、こいつはもう生まれた時に自分の在り方、生き方を定義してしまった。
    手遅れ、とは言いたくないが実際そうなんだろう。
    傍にいるという命令を遂行する為か傍に寄り、身体を擦り寄せてきた弟を膝に乗せ、後ろから抱きしめる。
    「僕は何をすれば良いのかな?」
    命じて欲しい、と唇が動く前にキスをした。
    何も命じていないから唇を開くことはおろか、目を瞑る事すらせず、ただ俺の唇を受け止めるだけ。
    こんな幼稚なもの、キスとは到底呼べないだろう。
    物悲しさを感じて唇を離す。
    「兄さん、命じて」
    途端にそう強請る唇。
    「口開けろよ」
    ああやっぱり無粋なこの口を塞ぐしかないか、と今度は深く唇を重ねた。




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    DONE◆Distorted Love◆

    りんひR-18小説

    ※この小説は18禁かつ盗撮の描写があります。この先を読む場合はご理解の上お願いします。

    ※今回の小説を加筆修正し、盗撮りんひをテーマにした本を10月のりんひプチオンリーで販売予定です。
    Distorted LoveDistorted Love



    最愛の弟である天城一彩のことを監視したいと思い始めたのはいつからだろうか。忌々しかった故郷を出る時に兄弟以上の関係性を願う想いは捨てたはずなのに。俺を故郷に連れ戻そうと追い掛けてきた一彩は、今ではアイドルとして活躍するようになった。MDMを終えて和解した俺達は少しずつ兄弟としての関係を再構築している。ユニットは別々であり、関係性を再構築しているが、まだ一彩と2人だけで過ごすにもどう振舞っていいかわからず、今でも時々冷たくあしらってしまう。酔ったフリをしでもした時だけは、あいつの前で素直な自分でいられるのに。
    4年以上も離れ離れになっている間に、あの頃はまだ小さくてかわいらしかった姿も、すっかり見目麗しくなっていた。雑誌の王子様系男子特集に抜擢されるくらい、眼はぱっちり大きく、王子様系に相応しい端正な顔付き。同じ緋色の髪は俺とは違ってふわふわのくせっ毛なのに上手い具合にパーマがかかってるように見える。兄弟以上に愛してるのを差し引いても、人を惹きつけるビジュアルだ。おまけに性格は素直で愛くるしい。こんなに愛すべき存在、放っておかれる訳がない。四六時中一緒にいられるはずもなく、かといってこちらからこまめに探りを入れる訳にもいかない。いっそ監視でも出来れば、好きな時に一彩の様子を把握出来るのに。さすがにそれを実行するには気が引ける。他に対応策も思い浮かばず、ため息を吐くしか出来なかった。
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