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    merukosu

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    merukosu

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    シンクレアが媚薬盛ったはなし。フェラするだけ。

     熱い。全身が茹だって、このまま溶けて煮えてしまいそうだ。
     アルコールとは違う、妙な高揚感。じくじくと疼く下腹部に、さすがにご無沙汰すぎたのだろうかと考える。
     ふわふわとまとまらない思考。じっとりと色欲が紛れて混ざる。俺はただ、いつものように酒を煽っていただけなのに。

    「っ………ふ………はッ…」

     上手く呼吸ができない。動く度に擦れる布ですら気持ちが良くて、ぴくりと跳ねる度に緩やかな快楽がやってくる。怖い。このまま1人でするのも、この疼きに一人で耐えるのも。溺れてしまいそうだ。誰か、どうにか…いいや、たった1人その人だけなのだけれど。

    「…くれぁ………しん、くれぁ」

     助けて欲しい。この息苦しさをどうにかするすべを俺は知らない。ぼろぼろと溢れる涙を拭う余裕もなく、無機質なテーブルを暖かく濡らしていく。緩く柔らかく昂っていくソレを、ただじっと見つめてやるしか出来なかった。
     時々やってくる、越えられそうにない夜みたいな憂鬱じゃない。どうしようもないもやもやはあるけれど、これは感傷ではなくて。おかしい。でも、どうにもできないんだ。

    「…よんだ?」

    「なぁ、……んで…っ…?」

     無意識に救いを求めた彼が、都合よく目の前に現れる。まるで夢のようだ。あぁ、これは夢なのだろうか。こんなぐちゃぐちゃに思考がまとまらないのも、夢だから?

    「…効き目…バッチリって言ってたけど…」

    「…しんくれあ?」

    「うぅん。 大丈夫、僕が…なんとかするから」

     なんとか。あぁ、どうにかしてくれるんだ。よかった、辛くてたまらないんだ。だからはやく、この熱さから解放してくれよ。

    「っ……ぅ…ぁ…しん、くれあ…」

    「なぁに…?」

     するりと頬を抜けて、ふにふにと耳を触られる。いつもそうだ。こういうことをする時、シンクレアは最初に慈しむように顔周りに触れて、指の背で首をくすぐって、指先で焦らすように撫でて。気持ちいい。優しく囁く声が脳を満たしてふわふわする。遠くなっていく耳が、シンクレアの声だけを拾う。熱い。でも怖い。このままだと俺が俺でなくなるような。シンクレアには見せたくない、汚れた自分が顔を出すんだ。

    「やだ……っ、おれ、こんな、やだぁ…」

    「大丈夫…どんなになってもアルはアルだよ」

    「っぁ……ふっ…そん、な、ッ」

     甘い言葉が反響する。都合のいい、きっと一番欲しいことを、そんなのって、でも、あんまりだ。君にそんなことを言わせてしまう俺は、一体どうすれば許される。

    「…どんな姿になっても大好きだから。 だから大丈夫」

     心做しか嬉しそうに微笑むシンクレアに、どろりと心まで溶けてしまいそうだ。甘ったるい。
     ゆるりと両手で頬を包まれ、優しい触れるだけのキスをされた。それすら気持ちよくて、心地よくて。溺れそうな意識をすくい上げてくれる。

    「すてないで、しんくれあ」

     ふと、ずっと心の内に仕舞っていた本音が漏れる。こんなこと言う資格なんてないと飲み込んで、だけど永遠に留まり続けて消えなかった。

    「捨てるわけ…手放すつもりなんてないよ…?」

    「ごめんなさい。 ごめん」

    「…どうしたの?」

     アルフォンスは半狂乱になりながらシンクレアに縋る。シンクレアに興奮してしまう自分が気持ち悪い。けれど、それすら愛してくれるという優しさが眩しくて、どうにか応えてやりたいとは思うのに。疼く体がおぞましい。相手がシンクレアでなければ気になりもしないのに、愛おしいだけでこれほど変わってしまうのだから、本当に厄介で。

    「ほしいのに、でも」

    「……。 軽蔑したりなんてしないよ」

    「おれが、じぶんがゆるせなくて」

    「…うん。」

    「どうしたらいいかわからない」

    「……うん。」

     あぁ、困らせてる。またそうやって。また、シンクレアの望みを叶えてやれない。俺はどこまでもどっちつかずで、何も決められない優柔不断な愚か者だ。ほら、今だってシンクレアに答えを出してもらおうとしている。分かっているのだ、いま、やるべき事なんて。

    「なんでもするから、なんでも。」

    「アル…? なんか変だよ…? どうしたの」

     時間が経つほど疼きは酷くて、緩やかに理性は消えていく。どうにかシンクレアに報いたい、普通に愛してみたい、だから、捨てないで。

    「っ…アルッ、ちょ、なにして」

    「ン……なめる…」

     昔、1度だけやってみて欲しいと頼まれたことがあった。咥えるのは嫌ではない、ただその後キスを強請られた時どういう反応をすればいいか分からないから。だからその時はやんわりと断ったのだけれど。

    「前、やだって……」

    「……ん……ふ」

    「ねぇ、きたないよ…ッ、無理して…ゥッ」

     シンクレアの制止も聞かず、アルフォンスは不器用に緩く立ち上がったソレを咥える。ほんのり苦く、独特な匂いが鼻を抜けて、お世辞にも良いものとは言えない。けど、頭上で小さく喘ぐシンクレアを見るのは悪くなかった。
     ぬるりと舌を這わせ、脈打つ熱を必死に扱く。息苦しいし、熱さは酷くなる一方だ。なのになんだかゾクゾクと背中が痺れて、妙な幸福感に襲われる。これはなんなのか。でもそんなのどうでもいいか。

    「んッ…ん……んぐッ」

    「ふっ……ぅ……あ、る……」

     じゅぷっと下品な音が余計に興奮を煽る。だんだん余裕がなくなっていく様子が面白くて、こんな反応が見れるなら早くやってみれば良かったと小さく後悔をした。
     時々鈴口を舌の腹で舐め、流れに任せてカリ首を沿って裏筋まで舌を這わせてみる。そんな愛撫が気に入らないのか、じとりと蜂蜜色の瞳で睨まれた。次の瞬間、ぐぷりと喉奥まで押し込まれ、生理現象で嘔吐いてしまう。

    「アルがッ、悪いんだからねッ」

    「ん"ッ、ふ、ぐぅ"っ、う"、ふぁ"っ♡」

    「っ、でる…ちゃんと、のんでよ」

     ゴツゴツと乱暴に口を犯され、異物感故の吐き気と酸素不足に意識が遠くなる。ふわふわしていた頭が白くなって、でも気持ちが良くて。乱暴なのに何故かそれが嬉しくて、それって、まるで俺が。

    「ふっ……ぅッ……」

    「ッん"、ォ"♡ッ〜〜〜♡♡」

     こぽり。どろどろと熱く、喉に絡みながら注がれる精液で溺れそうだ。きゅんきゅんと下腹部が疼いて、ぴりぴりと足の先まで電流のような快楽が流れて気持ちいい。
     ずるりとソレを引き抜かれ、それすら甘く蕩けそうな快感で全身から力が抜ける。ねっとりと絡む精子を飲み込んで、口に残るほろ苦さにほんのちょっぴり不快感があるけれど。

    「…ごめん、やりすぎたかな…?」

    「ッ…ふ……♡ んん………だい、じょーぶ…♡」

    「……。 アルって本当ドMだよね」

    「そんなこと、ねーしぃ?」

     まだそれを認めるには覚悟が足りないのだ。マァ、そんなものいつになったって出来やしないのだけれど。

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