見て聞いて構って!目の前の惨状にタルタリヤは口の端がヒクリと引き攣るのが自覚できた。
様々な物でぐちゃぐちゃになった床とテーブル。部屋中に散らばった書類の数々。ソファの上に畳んであったはずの服は、すべて乱れてソファの真ん中でこんもりと山になっている。
服の山の隙間からは、ここ数日で随分見慣れたフカフカの雲を思わせる金色のしっぽのようなものが飛び出し、耳をすませば、ぷぅぷぅと寝息のような音が微かに聞こえてくる。寝息の音と連動して山やしっぽは、ゆったりと上下に動いていた。
部屋の惨憺たる状況にタルタリヤは思わず遠い目になる。ようやく出掛ける事ができて、北国銀行に顔を出してから夕食の買い出しを手早く済ませ、なるべく早く帰って来れたと思ったらこの有様なのである。盛大に溜息を付くが、部屋の状況が好転することもなかった。
空笑いをしながら、どうしてこんな状況になってしまったのか、と、現実逃避に数日前の出来事を思い浮かべ始める。
数日前のその日、旅人に誘われて新たに出現した秘境に行った時の事。
旅人たちとタルタリヤとそれから鍾離。このメンバーで入った秘境は何の変哲もない魔物が巣食うだけの秘境だった。そのはずだった。
あれはそう、最後の部屋での事だ。扉を開くための謎を解いた瞬間に事件は起きた。
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旅人たちとタルタリヤと鍾離、このメンバーで挑戦した秘境では、最後の部屋には宝箱が三つ並んでいるだけだった。
罠なのか部屋を出るための仕掛けなのか、最初は警戒して辺りを探ってみたが、魔物も出てこず他に何の仕掛けも見つけられなかった為に最終的に開けることになったのだ。
危険を考慮して一つずつ開けようとしたが何故か開くことが出来きず。ならば同時に開けてみようと、三人手分けして同時に開いたのだった。すると…。
「…これ、ちゃんと元に戻るのかな?」
「ううう、まさか鍾離がこんな姿になるなんて…」
「ハハッ…うーん、どうだろうねぇ…」
旅人とパイモンとタルタリヤ、三人の視線の先はタルタリヤの腕の中に注がれる。その中には、茶色の龍を思わせる小さな生き物がいた。
タルタリヤの腕の中にすっぽりはまるそれは、金色の二又の角が左右に一本ずつと小さな円錐の角を額に生やしている。器用に角をぶつけないよう、ふかふかの毛並を自慢するようにタルタリヤの胸に頭を擦り付け、先端が金色の雲を思わせる形をしたしっぽを機嫌よく振っていた。
そんな暢気な様子に三人は脱力するように同時にため息をつく。
「まさか、鍾離先生の宝箱だけ罠だったなんて…」
「しかもしかも!ヘンな煙が出てこんな姿になっちゃうし!!」
「アハハ、ホントどうしようかねぇ?…先生、自力で戻れたりしないの?」
「きゅっ?…きゅぅ」
「んー、無理だってさ」
「ホントにそう言ってんのかよ?!」
ムキーッと空中で器用に地団駄を踏むパイモンを無視しながら、タルタリヤは腕の中のぬいぐるみのような姿になってしまった鍾離を見る。
つやつやと光るいつもと比べて面積が広くなった石珀が、じーっとこちらを見つめてきた。不思議そうに見上げるその顔がなんとも愛らしく、頭を撫でてみれば、気持ちよさそうに目を細めくるくると喉を鳴らした。その姿がとても可愛らしくてタルタリヤは思わず頬が緩んだ。
「それにしても、全然戻りそうにないね。元に戻るまで塵歌壺の中に居てもらった方がいいかな?」
「そうだなぁ誘ったオイラたちにも責任があるし…そうした方がいいかもな」
「うん、俺もそれがいいと思うよ」
そうと決まれば善は急げと、タルタリヤは鍾離を旅人に引き渡そうとした。が、鍾離のせいで失敗に終わる。
ぎゅっと眉間にシワを寄せ、全身の毛を逆立てながらタルタリヤの服に爪を立て、しっぽはくるんと腕に絡ませてきた。その上、短くなった手足を懸命に伸ばしてタルタリヤにしがみつき梃子でも動かなくなってしまったのだ。タルタリヤや旅人が引き離そうとしても、タルタリヤの服が破れそうになって断念したほどである。
「…離れてくれないね」
「…公子にべったりだな」
「…あの、先生?相棒の所に行ってくれないかな?」
「ぎゅぎゅっ!!!」
「…嫌そうだね」
「…今のはオイラでも分かったぞ…こうなったら公子の所に居てもらうしかないかもな」
「ま、俺は別に構わないよ。元々、この後一緒に過ごす約束をしていたしね」
「きゅっ!!」
先程とは打って変わって嬉しそうに返事をする鍾離に、三人は目を合わせて苦笑いを浮かべた。その後、三人で幾つか相談した結果、数日様子見をしてそれで元に戻らないなら然るべき相手に相談。という事で落ち着いた。
時折、合間を見て顔を出すと言いながら旅人たちはその場を離れていく。この後も依頼の予定があるらしく、今回はこの場で解散することになったのだ。手を振る旅人たちを、手を振り返しながらタルタリヤは見送った。
帰路についたタルタリヤは腕に抱えた鍾離を見ながら考える。
いくら身体が変化してしまったとしても、言葉がほとんど通じなかったとしても、中身は鍾離なのだ。不便なところは出てくるだろうが、それほど心配はしていない。それに二人は恋人同士。互いの部屋に寝泊まりしたことなど幾度もある。数日、生活を共にするくらいなんとでもなるだろう。
そう考えて帰路についている間に、鍾離は寝てしまった。タルタリヤは間借りしている部屋に鍾離を残し、職場である北国銀行に顔を出した。
急を要しそうな案件のみその場で済ませ、期日の迫っていないものに関しては先送りにし、持ち帰っても問題なさそうな仕事は持ち帰る事で、数日間の休日をもぎ取ることができた。苦手な書類仕事を溜め込まずにコツコツ捌いておいてよかったと、タルタリヤはホッと胸を撫で下ろす。二、三ほど部下に指示を出した後、タルタリヤは書類の束を持って北国銀行を出る。後は持ち帰った仕事をこなしながら、数日間、鍾離と過ごすだけだ。
書類仕事は面倒だが、恋人の鍾離と長く過ごせるのは存外悪くないな。と、タルタリヤは思った。いや、思っていた。楽観的に考えていたタルタリヤだったが、この数時間後には思い直す事になる。
そもそも、旅人の所に素直に行かなかった時点で気付くべきだったのだ。
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「先生…そこ、どいてくれないかな?」
「ぎゅっ!」
「いや、ぎゅっ!じゃなくて…ああもう、またか」
小さな龍になってしまった鍾離と過ごし始めて早四日。その間、何度も繰り返されたやり取りにタルタリヤは頭を抱える。
備え付けの椅子に座りデスクに書類を広げて、いざ持ち帰った仕事をこなそうと意気込んだのはいい。ただ、そこには問題があった。問題しかなかった。
問題の箇所にじとりとタルタリヤは睨めつける。視線の先には、タルタリヤの膝の上に居座る鍾離の姿があった。ただ座っているだけではない。座るだけならまだいい方で、座った上に何故か仕事の邪魔をしてくるのだった。
絶妙にデスクの上の書類が見えなくなる位置にしっぽを置き、ペンを持とうとするタルタリヤの右腕に上半身を預けてくる。タルタリヤが負けじと左手で書類を取ろうとすれば、ペシッとしっぽで軽く手をはたかれる始末。
このやり取りは初めてのことではなかった。何なら初日からずっとこの調子で数えるのも馬鹿らしいほどだった。仕事は遅々として進まず、もう意味がわからなくてタルタリヤは毎日頭を抱えている。
それに、鍾離の意味不明な行動はこれだけに留まらない。
膝の上で邪魔をしてくる以外にも、買い物や銀行に顔を出す為に出掛けようとすればブーツをどこかに隠そうとしたり。未処理の書類の上で昼寝をしたり。着ようと思った服の上に陣取ったり。挙句の果てには、いつの間にかタルタリヤの上に乗っかってベッドから出るのに苦労させられた事もあった。上げだしたらキリがない。
その度、今のようにタルタリヤがやんわり苦言を呈しても、素知らぬ顔で続けるか今のように唸り声を上げるかのどちらかで鍾離が行動自体を止めることは無かった。面倒見の良いタルタリヤとて流石に疲れが見え始める。思わず溜息が出そうになったが、既の所で耐えて軽く首を振った。
気分転換に外に出るのもいいかもしれない。夕飯を買うついでに北国銀行の方にも顔を出した方がいいだろう。そう考えてタルタリヤは膝の上にいる鍾離をデスクに乗せてから立ち上がった。
「きゅぅ?」
「…夕飯の買い出しに行ってくるよ」
「きゅっ?…きゅっ!きゅっ!」
「あー、すぐに帰ってくるからまた後でね」
呼び止めるような鍾離の声を無視してタルタリヤは部屋を出ようとした。
けれど、それも失敗に終わった。
デスクに乗っていたはずの鍾離が早足で駆け抜けてタルタリヤを追い抜き、扉の前に陣取ってくるりと丸くなったのだ。まるで通せんぼをするような行動に、タルタリヤの頭の中で何かが切れる音がした。数日間、溜めに溜めたものが爆発して堪忍袋の緒が切れる音だった。
光のない瑠璃色からスッと感情が抜け落ち鍾離を睥睨すれば、それに抗議するようにキッと睨み返してきた鍾離は胴を立たせて半立ちの体勢になり、互いの間に火花が散る。
「先生は一体何がしたいのかな?」
「…ぎゅっ!ぎゅぎゅ!」
「はぁ…そんなに俺の行動が不満なら、最初から相棒のところに行った方がよかったんじゃないのかな?別に今から行ってもいいんだよ?ここから出ていったとしても、俺は止めたりしない」
「きゅっ!?……きゅっ…きゅぅ…」
タルタリヤがそう言い放つと、途端に鍾離の勢いが萎み扉の前からタルタリヤの足元に移動して来た。剣呑になっていた石珀はいつの間にか険しさが取れていて、縋り付くような視線が見上げてくる。それを眺めていたタルタリヤだったが、今更何の感慨も浮かばず、鍾離を軽く躱してから扉に手を掛けた。
「…それじゃぁ俺は行くから…先生が出ていけるように扉は少し開けておくよ。…好きにしたらいい」
「きゅっ…きゅぅっ…!」
扉を完全に閉めずに廊下に出る。振り返ることなく進んだタルタリヤには、その後、鍾離がどう行動するのかなんて分かるはずもなかった。
✦✧✦
タルタリヤが外に出てから一時間と少し経った頃。夕方になった辺りは赤く染まり出していた。
外に出て幾分か頭が冷えてきたせいか、少し言い過ぎたかもしれないとタルタリヤは思い始める。帰ったら謝ろう。そう考えて夕飯にと、モラミートを二人分買ってから急ぎ足で帰路に着く。
そうやって帰ってきたタルタリヤの目の前には、盛大に散らかった部屋が待ち受けていたのだった。
ようやく回想という名の現実逃避から帰ってきたタルタリヤは改めて部屋を見渡す。
無惨にも散らかった床とテーブル。デスクから落ちてそこら中に散らばった書類の数々。畳んであったはずの服はソファの上でこんもりと山になっていて、そこから鍾離のしっぽが飛び出ている。
鍾離の仕返し、なのだろうか?それにしては鍾離が何故まだここに居るのか、タルタリヤには皆目検討がつかない。ぷぅぷぅと寝息のような音が聞こえるそれに近づく。そっと起こさないように服の山をどけてから出てきた光景にタルタリヤは目を見開いた。
そこには、タルタリヤが今朝まで着ていた寝巻きを全身で抱き込み、鼻先を服に埋めながら眠る鍾離の姿があった。
ふと、懐かしい光景がタルタリヤの目の前に浮かぶ。父や母に叱られた弟が自室に籠もり、お気に入りのぬいぐるみを抱いて泣きながら眠る。そんな姿を。
その姿と今の鍾離の姿が何故か重なって見えて、一気に毒気が抜けて苦笑いを浮かべる。鍾離の一連の行動は、もしかしたら鍾離の制御外の事だったのかもしれないと、今更ながらに思い当たった。いつも通りではない相手に、大人げなかったなとタルタリヤは反省した。
そっと起こさないように鍾離の頭や頬を撫でる。すると寝ぼけているのか、すりすりと甘えるように頬を擦り付けてきて、無意識にくるくると喉を鳴らす様は、なんとも愛らしかった。
そうしている内に、日も沈み始め部屋の中も徐々に暗くなる。せっかく出来立てを買って帰ってきたのだし、そろそろ夕飯にしてもいいだろう。と、鍾離の身体を優しく少しだけ揺らす。
「先生、起きて?そろそろ夕飯にしよう?」
「くる…くるる……きゅぅ?」
「おはよう、先生」
「きゅぅ………ぎゅっっっっ!!!!?」
「え?何?先生どうしたのさ?」
目を覚ました鍾離はタルタリヤの顔を見るなり飛び上がって床の方へと降り、ベッドの方に逃げていった。そのままベッドの下の狭い隙間に入り込み奥の方に隠れてしまった。奥の方からは、小さな鳴き声が微かに聞こえた。悲しそうな声と怯えたような鍾離の行動に罪悪感が益々募る。
「…先生ごめん。さっきは言い過ぎたよ。夕飯にモラミート買ってきたから一緒に食べよう?」
「きゅぅ……きゅぅ…」
「先生を追い出したりなんかしないし、出ていってもいいなんてもう言わないからさ…」
「きゅぅ…」
「そんな所に居たら、せっかくの綺麗な毛並みが埃だらけになっちゃうよ?ほら、いい子だから。ね?」
根気よくタルタリヤが待ち続けていると、そろりと伺うように鍾離が顔を出してくれた。ベッドにぶつけないよう慎重に持ち上げる。奥まった場所に居たせいで所々が汚れてしまっていたが、タルタリヤは気にせずにそのまま抱き締めた。
少し力を込めれば、お返しに首筋に頬を擦り付けてくる。そんな鍾離のいじらしい姿に胸を打たれ、タルタリヤは鼻先にキスを送った。
✦✧✦
何か動く気配がしてタルタリヤは目が覚めた。薄く目を開けば辺りはまだ暗く、深夜くらいだろうと適当に当たりを付ける。
寝る前までの記憶を辿る。鍾離と仲直りしてから夕飯を済ませ、そのまま二人で風呂に入ってから、早目にベッドに入った。そこまで思い出してから、タルタリヤは目が覚めた原因を探る。
ふと、隣で一緒に眠っていたはずの鍾離が居なくなっていることに気が付いた。パチリと完璧に目を開ける。すると、大きな何かがベッドのすぐ側に佇んでいるのが、暗がりの中、視界の中に飛び込んできた。見慣れた後ろ姿がぼんやりと見えてきてタルタリヤは身体を起こす。
「先生?何をしてるの?」
「……すまない、起こしてしまったか」
タルタリヤが声を掛ければ、佇んでいた人物はピクリと肩を震わせゆっくりこちらに振り向く。思った通り鍾離その人だ。小さな龍の姿ではなく元の姿に戻っているようだった。
近くにあるベッドランプの明かりを灯すと、眉尻の下がった申し訳無さそうな表情が浮かび上がる。タルタリヤは床に足をつけ、ベッドに腰掛ける形をとった。自分の隣のスペースをぽんぽんと叩くと、素直に寄ってきた鍾離もそこに腰掛ける。
「元に戻れたんだね」
「…先程、ようやく効力が切れたようだ」
「そっか、よかったよ。で、こんな夜中にどうしたの?」
「その…散らかしてしまったから少しでも片付けようと思ってな…」
「あれ?変化してた時の事、覚えてるんだ?」
「………ああ」
しょんぼりと肩を落とし、鍾離は小さく頷いた。珍しくかなり落ち込んでいるようだった。
それにしても、「覚えている」という事は鍾離の意識はあったという事なのだろう。ならば、何故あんな行動を取っていたのだろうか?主にずっとタルタリヤの行動の邪魔をするなど、普段の鍾離ではありえない行動だった。
「先生」
「…なんだ」
「何であんな事してたか聞いてもいい?」
「……っ…」
ベッドランプにぼんやりと照らされた横顔が、一気に真っ赤に染まる。思ってもみなかった反応に、タルタリヤは思わず目を丸くした。じっと赤く染まった顔を見続ける。話すかどうか、はくはくと口を開いたり閉じたりと迷っていた鍾離だったが、タルタリヤが諦めずに待ち続けていると、ようやく理由を話し始めた。
「まず、秘境に仕掛けられていたあの煙だが…あれはかかった者を退行させる効力があったようだ」
「退行?若返るとかそんな感じ?」
「その認識であっている。俺もかなり戻されて幼生の頃まで戻されてしまった…幼くなったせいで元素をうまく練れず、人型に戻ることもも言葉を話すこともま儘ならなくなった」
「でも覚えてるって事は意識はあったんだ?」
「…ああ、身体が退行しただけで意識はそのままだった…だが…」
「だが…?」
「…精神が幼くなった身体にひっぱられてしまったのか、いつもなら自制できる欲求が…まったく制御できなかった…」
益々顔を赤くしながらうろうろと視線を彷徨わせる鍾離の姿をポカンとしながら眺め、今まで起こったことを反芻する。
旅人の所に行くのを嫌がり、書類の前に居座って見えなくし、鍾離を置いて出掛けようとすれば立ちはだかってきた。
そして現在の、赤くなった顔、意識はあれど心身ともに子供になっていた事実、鍾離がいつも自制している欲求。
自惚れかもしれないが、そこからタルタリヤが導き出せる答えは一つだった。
「…もしかして、俺に構ってほしかった?」
そうタルタリヤが言うと同時に、ふいっと顔を背けられてしまった。けれど、真っ赤に染まった耳が、何よりも雄弁に語っていた。近づいてその可愛らしい耳にチュッと音を立てて口付けるとびくっと鍾離は身体を震わせた。
タルタリヤの気を引きたくて邪魔をしてきた事実も、叱られて怯えた態度も、そして、耳が弱くて体を震わせているのも、何もかもが可愛らしくて愛おしくて、ギュっと肩を抱き寄せる。そのまま真っ赤な頬にキスを送れば、こちらを向いてくれた。
「んふふ、先生可愛い」
「…幻滅したりしないのか?」
「全然。むしろ先生にもっと愛されてるって分かって俺は嬉しいよ」
「…そうか」
肩の力が抜けたのか、ようやく鍾離が微笑んでくれたが、石珀にはまだ翳りがあった。不安そうな恋人に謝罪と愛を伝えるために、そっと頬に手をやりそのまま唇を奪った。
不安なら態度でも言葉でも何度でも伝えればいい。それだけの話なのだから。