ループ 夢で一郎を抱いた。
一郎がこどもみてぇに泣いてて、どうしても泣き止まねぇから、冗談でセックスでもするかと聞いたらようやく泣き止んだ。
ずっと拙僧の片想いだったから嬉しかった。
とんでもねぇ快感だった。
だが一郎は、ずっと遠くを見ていた。
「よう一郎!」
「空却……」
公園のベンチに座る一郎は、葬式みたいに青ざめて疲れた顔をしていた。視線は悟りを開いたように凪いでいる。
昨日別れる直前までアニメの話で盛り上がってたのに。一朝夕で溜まったとは思えない深刻さだ。
「サイファーでもすっか?」
「……ん」
とりあえずラップだ。一郎はどんなに疲れてようがラップバトルが始まりゃ元気になる。少なくとも気晴らしになりゃいい。
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