おひさま 「エラン!コイツにっ、コイツに何をした」
彼の青い瞳は私を映していた。エランが戻っても近くに人の気配を感じる。しばらく唇をかみ締めて下を向いているとバサリという音と共に暗くなる。それが上着だと気付いた頃、狭くなった視界からはグエルの後ろ姿が見えた。
御三家同士の決闘が始まる。余計な賭けだなんて口を挟んだけどほんの少しだけ嬉しかった。
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「これ……どうしよ」
視界の先には彼の服。どうしたらいいか分からず持って帰ってきてしまっていた。
「それ、どうしたの?」
「みなさん!えっ、えっと、あのあのっこれっお洗濯したくって」
「そっか」
「それで、何に悩んでるわけ?」
ミオリネさんらは私に問いかけた。
「ええっと、その、洗濯の仕方、知らなくって……っ教えてっ頂けないでしょうかっ!」
「なんだ、そんなことか!もちろん!」
「別にアンタがやんなくていいんじゃないの?」
「も〜いいじゃん、ほらほら、こっちだよ」
「あぁぁっありがとうっございますっ!!」
ぐるぐる回る水と泡。ここに好きな香りも入れて良いらしい。
「これとかどうかな」
「ん〜!いい香りですっ!」
「でしょ〜私のイチオシなんだ〜それにスレッタさんにも似合いそう」
「ほっほんとですかっ!?」
ニカさんに笑顔でそう言われて嬉しくなる。ミオリネさんは面白くないってすぐにどこかへ行っちゃったけど。
「決まった?」
「はい!これにします!」
「それでよかったの?」
「これがいいです!」
「そっか じゃあここに入れてね」
分量を測って水の中へ入れるとふわりと広がるその香り。服がくるくると回る様子はスレッタを飽きさせなかった。
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「こっここここれっっ!!あっありがとうっごっございましたっっっ!!!!」
袋に入れた上着はきちんと畳んでゴミが着いてないか何度も確認した。それにあの時選んだ匂いが優しく広がっている。
「……この匂い」
「あっあああのっ、あっったかい匂いが、合いそうだとっ思って……!いいいやだったらごめんなさいっ」
なんだかその匂いはグエルが1番に思い浮かんで、勝手にしてしまったけれど本当はまずかっただろうか。何も聞かずにしてしまったし、そもそも洗濯なんて、
「お前が選んだのか」
「へっ、ぁあっそう!です!」
「……ならいい」
そのまま立ち去ったグエル。よく分からないけど大丈夫だったみたいで良かった。
その香りは選んだ中で1番あたたかい感じがした。