冬の朝「れおくん、まだ起きないのぉ?」
「うぅ、もうちょっとしたら起きる……」
「さっきからそればっかりじゃん」
朝の冷え込みとは別に、日に日にれおくんの起きる時間が遅くなっていくのを感じると冬が来たなと思う。寒いから布団から出たくない。それだけの理由で、彼はまだ顔の半分くらいまで布団に埋まっているのだ。
「部屋だいぶあったまったでしょ。早く起きてご飯食べなよ」
「ホットコーヒー入れてくれたら起きる……」
「はいはい」
「あと、セナがぎゅ~ってしてくれたら起きる……」
「……バカじゃないの?」
そう言いながら寝室の扉を閉めた。セナのケチ! とかなんとか聞こえたような気もするけど、そんなものは無視である。
コーヒーメーカーのスイッチを押して、ガガガガガというけたたましい豆の挽く音を聞きながらパンをトースターに入れる。フライパンに卵を落とせば、後は待つだけ。部屋の暖房もだいぶ訊いてきたから、何も言わなくてもそろそろ起きてくる頃だとは思う。
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