写真に収めて 朝日を浴びるには、まだ少し早い時間に、泉はふと目が覚めた。手探りでスマホを探し、時刻を確認する。まだしばらく寝ていても良い時間帯だ。メールやSMSのチェックを一通り済ませ、ふと隣を見ると、同居人が寝こけていたのでパシャ、とスマホのシャッター音を鳴らした。未だ微睡みの中にいるレオの愛らしい寝顔を、画面の中に記録したのだ。始めは床に変なポーズで寝ているのが面白くて撮り始めた寝姿も、今では愛しいなと思う度に撮り残している。いわゆる隠し撮りだ。今日は前髪が上にくるりとカールしていたので、あとで直してあげなきゃな。とオレンジ色の毛先をそっと撫でる。今だけは泉のものであり、理解しがたい戯れ言を言う唇も閉じきっている。ふに。と柔らかいほっぺをつついてみると、んぅ……と喉から声が聞こえた。なんでもないよ、おやすみ。と頬をさらりと撫でて、泉はまた布団へと潜った。
昨夜は早めに就寝したので、太陽が昇りきる前に目が覚めた。今日は朝から何の予定もなかったはず。と、大きく伸びをしてベッドから降りる。ふと窓際に寝ている泉を見ると、死んでいるのかと思うほど静かに眠っていた。上を向いているし、手を胸に当てている。なんならカーテンから僅かに朝日が射し込んでいて、このまま天使が迎えに来てもなんの不思議もない光景だった。嘘、まだ傍にいて欲しいから神様今のは聞かなかったことにしてください。寝ている姿まで綺麗だなんてずるいぞ、と思いながら、テーブルに置きっぱなしで充電が半分以下になっているスマホを取りに行った。あまり自分は写真を積極的に撮る方ではないけれど、こうしてたまに残している。泉には内緒の、レオのコレクションだ。今だけはレオのものであり、口を開けば文句ばかりを言う唇に、そっと挨拶を一つ落とした。
さて、今日はどうやって起こそうかな。