傷の修復この美しい人は、光り輝くダイヤモンドのようだがその実は、簡単に傷がついてしまうガラスのような人なのだ。
学会から帰って来たバデーニさんは、一見普段と変わらないが内心酷く疲れた表情をしていた。
きっと、陰で嫌味を言われているのを聞いてしまったんだろう。
秀才で英傑な彼は、それ故に人の黒い部分を集めやすい。
そして、「そんなのは気にも留めません」という顔をしておきながら、しっかりと心に受けてしまうのだ。
そんな彼に俺ができることはひとつ。
「おかえりなさい、バデーニさん」
彼を、うんと優しく抱き締める。
貴方が好きだと言ってくれる、人より大きなこの身体で。
貴方の破片が刺さって、自分に傷ができようとも構わない。
「...ただいま」
少しぎこちない動きで、抱きしめ返される。
俺の愛が、貴方の傷すべてを癒せますように。