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    偽物語の歯磨きプレイを実の兄弟で見たかった

    #らいなゆ

    らいなゆそれは研修旅行先のホテルでの夜だった。
    今日何杯目かのラーメンを食べに行くために夜ホテルを抜け出そうとしたところを生行に見つかり呼び止められてしまったのだった。

    「勝負をしましょう」
    生行が指を一本立てて言った。
    「勝負!いいな!」
    久々に生行に話しかけられてウキウキした俺は詳細を聞かずにその賭けに乗ることにする。

    「この勝負に俺が勝ったらお前はこの研修旅行中のラーメンを我慢すること、わかったか?」
    「なるほど、要は勝てばいいんだな。わかった」
    「なんで勝つ前提なんですか」

    イラっとした様子で生行が俺を睨みつけた。

    「ところで、何で勝負するんだ?」
    「そうですね...流石にアイドルの体を傷つけそうなものは無理ですし...」
    「なら、歯磨きはどうだ?」

    俺は提案した。
    最近太緒と千弥がやったという勝負だ。

    5分間相手に歯磨きをしてもらうことに耐えられたら勝ち、らしい。
    なかなか白熱した勝負になったという話を聞いたことを思い出したのだった。

    「歯磨き?そんなものでいいんですか?」
    「ああ、俺が生行の歯磨きをして5分耐えられたら勝ちだ」
    「むしろそんな勝負でいいんですか?こちらは全く構いませんが」
    「なら、決まりだな」

    別に俺は勝ち負けなんかどうでもよかった。
    ただ、生行と触れ合えるならなんでもよかったのだ。
    余裕そうな生行は、では、とベッドに座る。
    俺は棚から新しい歯ブラシと歯磨き粉を持ってくると、にゅるりと歯ブラシに歯磨き粉を乗せた。

    「生行、いいか?」
    念の為確認を取る。
    「いつでもどうぞ」
    生行はあーん、と口を開いて目を閉じた。
    その隣に俺も座ると柔らかな金の髪で覆われている無防備な後頭部に手をやり斜め上の角度を向かせて奥歯からシャカシャカと磨き始める。

    千弥と太緒の話を聞いたとき、何がそんなに耐えられないのだろうと思っていた。
    歯磨きというものを他人にしてもらうことは幼少期以降歯医者に行った時くらいで、しかもその時は大体器具を使われるし、歯ブラシを用いて他人にされることにそう慣れることはないからだろうかと思っていたのだが。

    どうやらその認識を改めるべき時がきたようだった。

    しゃかしゃかと歯を擦っていると、時折生行が、ん、とぴくんと体を震わせた。
    心なしか顔色も赤くなっている。

    なるほど、歯磨きというものは、大体の人において性感帯でもある口内を柔らかな毛先で撫でるという行為なのだ。

    そして生行も例に漏れずやはり口内は性感帯のようだった。
    柔らかな刺激が生行を中から襲っていく。
    ゆったりと座った生行の身体からどんどん力が抜けていくのがわかる。重みを増していく身体。俺に体を預けてくれている信頼の証。

    嬉しさに頭が回らなくなってふー、と俺が深呼吸をして息を整えていると、
    「人に磨いてもらうのは確かに変な感じですね...」
    そう言って苦笑いをした生行の顔を見ながら一呼吸つくとまた歯ブラシを口の中に挿入し再開した。

    シャカシャカ、と音がホテルの部屋に響く。
    その刺激が快楽と混じるのか、生行の体がぴくん、ぴくんと時折反応していた。両手はなぜかぎゅっとシーツを握りしめている。
    俺は一心不乱で歯を擦る。
    奥歯のくぼみ、側面、前歯の間まで磨き残しがないように時折、唇に指を入れ開かせながら。

    ぁ、...っはぁっ、と生行が荒い息を吐いた。
    息遣いが、はっきり言ってエロい。
    まるでその声は喘ぎ声のようで。
    正直に言うと、興奮した。

    俺はそっと宝物を扱うように後頭部をベッドに下ろす。
    「らい、と...?」
    生行が薄く目を開ける。その目には涙が滲むように光っている気がした。うん、と安心するように俺はうなづくとそのまま体の上に跨った。

    生行が潤んだ瞳で俺を見つめている。生行って、こんなにかわいかっただろうか.............。
    なんだか頭がぼーっとする。

    半開きになった唇から覗く赤い舌から目が離せない。ああ、これを吸ってやったらどんな顔をするんだろうな。

    ツルツルになったかどうか歯を一つ一つ舌で確認してやりたかった。体の中で一番繊細な神経なのは舌だというから。それは磨き残しがないか確かめるための正当で純粋な行為なのだ。

    俺は顔を近づけていく。
    生行がぎゅ、っと目を瞑る。
    シーツを握りしめた手の上から俺も手を重ねる。

    あと少し。
    あとわずか数センチ。
    「......っ」
    生行がかすかな吐息を漏らした。
    ようやく唇が重なると思った瞬間、

    コンコン、とノックの音が空間を切り裂いた。

    慌てて俺は生行から降りるとドアへ向かう。

    実の兄弟で、俺たちは何を?
    どくどく、と心臓の音が響く。

    「なゆーき?寝ちゃった?」
    「千弥?どうした?」
    「あれ、らいてぃん?なゆーきはー?」
    「います、勝手に出ないでください」
    服を整えた生行がピシッとした格好で後ろに立っていた。
    先程までの表情とは違い凛々しく冷静ないつもの生行がそこにはいた。
    「えーとねー、明日のことなんだけど〜」

    明日のスケジュールを確認すると千弥が去っていく。幾成じゃなくてよかったと俺は胸を撫で下ろす。心拍数の変化に気づかれるところだった。

    千弥を見送った後ドアを閉めた生行は俺をぎっ、と睨んだ。
    「なんで勝手に出るんですか」
    「別に兄弟なんだし出たところで誤解されるようなことはないだろう?」
    「それは、そうですけど。........で、5分経ちましたよね?」
    「ん?」
    「5分耐えたら俺の勝ちだとお前が言ったんだろ」
    「ああ、そういえばそうだったな」
    「そうだったなって...勝負の内容を言い出したのはお前だろ」
    「はは、悪かった。参った、俺の負けでいい」
    「そりゃあんな勝負俺が勝つにきまってるでしょう」
    「そうかな?あと2回やったら俺は勝てると思うが」
    「最初に3回勝負なんて言われませんでしたからね」
    「へえ、自信がないのか?」
    「は?そんなわけあるか」
    「ならあと2回くらい耐えれるよな?」
    「当たり前だ」

    そうして延長戦に突入したのだった。


    んんっ、と生行が目の前で顔を赤く染めながら必死に堪えて悶えていた。
    足にも力が入り膝を時折擦らせる。
    はっきり言って、俺の方が理性が飛びそうだった。
    白熱するとはそういうことか。

    俺の理性が飛ぶのが先か。
    生行が耐えられなくなるのが先か。

    10分間の真剣勝負、と言うわけだった。



    全て終わった後、生行は涙目でもう二度とやらないからな、と真っ赤な顔で俺を睨みつけながらそう言った。
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