さわみずこおりつめる「いいから寒稽古じゃ!!!」
「は?嫌ですけど?」
明るい調子で叫ぶ太子とは反対に、寝起きの不機嫌な声で晴明はこう答えた。
だって、まだ外は真っ暗だ。寝る前に灯した、枕元のロウソクがゆらゆらと揺れている。まだ大分長さがあるソレは、就寝してからそんなに時間が経過してないことを示している。真冬は夜が明けるのが遅いといっても、この暗さは確実に夜中である。あと寒い。超寒い。
というか、ぐっすりと眠っていた最中で唐突に起こされたにも関わらず、即座に反論出来た僕を褒めて欲しい。
「…太子、今何時だと思ってるんですか」
「朝の3時じゃな」
「3時は朝とは言わないし、寒稽古もしないですぅ。さっさと帰れですこのばか」
そう早口で答え、あくびをしながらごそごそと布団に戻る。これは変な夢だ─そう思って寝直そう。せっかくだからまさかちゃんの夢でも見れれば──
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