可愛い甥っ子「ホルスー!」
サモナーは町中で見知った背中を見つけて駆け寄った。平日の日暮れ時。空は橙色から赤紫色へ移り変わり始めている。声をかけた後で勤務中である可能性に思い至ったが、幸いにも勤務中ではないようで、私服に何やらおしゃれなショッピングバッグを片手に提げたホルスが驚きをもってサモナーを見つめた。
「叔父様っ? どうしてここに?」
しかし、流石とも言うべきか、明らかな動揺は咳払い一つで厳かな表情の裏に上手に隠してしまう。
「今日はお休み?」
時折、自分だけに見せるその気の抜けた表情が堪能できなかったことを残念に思いながら、サモナーもこれまた平然とした顔でホルスに向き合った。
「ええ、まあ」
「へぇ、珍しいね。誰かへのプレゼントを買いに来た、とか?」
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