愛と狂気のタイムトライアル人のいない道を跳ねるように、滑るように車体が駆け抜けてゆく。
悪路をサスペンションが吸収してゆく。
明かりのない道を、ヘッドライトが頼りなく少しだけ照らし出す。
エンジンの唸りが、静かな夜の林道に荒々しく響く。
ラリーという競技は、国内では多く、夜中に人の住んでいないような道を使って走る。
街灯なんて当然ない。
曲がりくねった道、知らない道を走ってタイムを競う。
視界なんて当然、無い。ガードレールすらない道もある。
一歩間違えれば崖から車は転落してしまうだろう。
そんな道を、まるで狂気のようなスピードでドライバーはアクセルを踏む。
ただ、隣にいる己のコドライバーだけを信じて。
何メートル進み、どちらにどう曲がるのか。
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