朝焼け色に染まったホームに電車が滑り込んでくる。潔はふわっとひとつあくびをすると、後ろに立つ蜂楽に軽く手を振った。
「じゃあな、蜂楽」
「うん、潔。バイバイ!」
朝に相応しい、さっぱりとした笑顔だ。ほんの少しだけ眠そうではあるものの、蜂楽も同じように手を振り返してくれる。
今ここで蜂楽と別れたら、また暫くはこの笑顔を見られなくなるのだろう。そう思うと、途端に腹の底がずんと重たくなった。もう何度も繰り返しているさよならなのに、この瞬間に味わう寂しさだけはいつまでたっても慣れない。
朝を撫でる
蜂楽とこうして再会するのも、そしてさよならをするのも久しぶりだった。二人とも数年前にブルーロックを卒業しており、いまはそれぞれの所属チームで切磋琢磨しているからだ。
2262