love or like?「ねーちぎりん、好きってどういうこと?」
「なんだよその唐突な質問」
「今村達がさっき好きな子が〜!とか騒いでたから、なんとなく」
あまりにも縁のなさそうな話題に入っていけなかったのは容易に想像がつくし、好奇心旺盛な蜂楽がその話題が気になって仕方がなかったのも頷ける。
そんな事知るわけねぇだろと一瞥したくなるも、ある男が頭に浮かび、なんだか面白そうだなとニッと口角が上がった。
「そうだなー。一緒にいて楽しいとか、離れたくないとか、他のやつに取られたら寂しいとか、そういう感情なんじゃね?お前にとっての潔みたいな」
「え!俺って潔の事が好きだったの?!」
「嫌いなのかよ」
「好き」
「ほら」
「え〜なんだ〜!俺って潔の事好きだったのか〜!なるほどなるほど♪」
スッキリしたー!と笑う蜂楽に良いアシストが出来たなと満足気にその背中を見送ると、俺達のやり取りを一部始終見守っていた國神に軽く小突かれた。
*
「千切ィ!!!」
「なんだよ潔。血相変えて」
「お、ぉまえ…!蜂楽に何吹き込んだんだよ!!あいつ、お、俺の事が…好きだって……!」
「おーおー良かったじゃんアッチィ」
「〜っ!?お前…遊んでんだろ…俺と蜂楽で…!」
「いや全然?俺は聞かれたこと答えただけだし」
なんも悪くねーよな?と國神に同意を求める。
「えっいや、でもあれは…っ」と動揺を隠しきれずどもる真面目くんと、蜂楽からの告白に満更でも無さそうなエゴイストが俺に詰め寄る。
「あっ潔〜!」
タイミングバッチリ。
サッカーボールを抱えながらぶんぶんと上機嫌に手を振る話題の中心人物がこちらへ駆け寄る。
「潔、好きにも2種類あるって事はお前がちゃんと教えてやれよ」
「はあ!?」
「ラブかライクか。蜂楽はラブの方で言ってるはずだから訂正すんなら早めにしてやれよ」
「………」
絶対に訂正なんかしないエゴイストが目を輝かせて蜂楽の元へ向かう。
「キューピットになった?俺」
呆れ顔で俺たちを見ていた國神へ視線を向けると「チームメイトで退屈しのぎするな」と、大きくため息を吐いた。