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    si___dan

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    si___dan

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    望二です。大したものでは無いけど可愛いので…

    現パロ望二「望月、お前いい加減に保健室に来るのをやめろ」
    「え〜、何でですか?二型先生の意地悪〜。」

    保健室のベッドの上で足をパタパタさせながら文句を言う男子生徒は望月大雄という。この高校の二年生だ。
    こいつは所謂サボり魔で、普通は体調不良者や怪我人が来るべきであるこの保健室に入り浸っていた。

    「ここは至って健康な奴が来る場所じゃないぞ」

    俺はため息をつきながら言う。すると、望月はまた不満そうな顔をした。
    全く、こんなことをしてる暇があったら勉強でもしろよ。こいつ頭悪い訳じゃないんだから。
    そう思ってると、望月が突然俺の方を見つめてきた。そして何か言いたげにしている。一体どうしたというのか。
    そんなことを考えていると、望月は口を開いた。

    「逆になんで僕が保健室に入り浸ってると思ってるんですか?」
    「…は?それはサボりたいからじゃないのか?」

    思わず聞き返すと、彼は呆れたような表情をした。
    いや、だってそれ以外に理由なんてあるのか?
    俺が予想外の問に考えあぐねていると、望月は大袈裟にため息をつき、端正な顔を歪めた。

    「あーもう、ほんとニブチンですね」
    「にぶ…?俺のわかる言葉で話してくれ」

    日本語を話してくれてるはずなのに理解できないとはどういうことなのか。
    俺が首を傾げると、望月はさらに眉間にシワを寄せて言った。

    「鈍感だって話ですー!」
    「鈍感!?」

    なぜ急に罵倒されたのかわからない。しかし、望月はさらに言葉を続けた。

    「そうですよ!そもそも僕はサボりたい時は部室使いますし」
    「…………はぁ?」

    なんだそれ。話の流れがよく分からなくて首を傾げる。

    「だから、文芸部の部室でサボりは事足りてるんですよ」
    「はぁ……」
    「つまり、僕の行動原理は全て先生にあるわけで」
    「うわっ!?ちょっ……」

    いきなり距離を詰められて焦った俺は変な声を出してしまった。

    「おバカな二型庵先生にも分かりやす〜く伝えてあげますけど、サボる場所は他にあるのに、足繁く保健室に通ってる理由は何でしょう?って話ですよ」
    「い、いや分からん、っていうか近いぞ望月…」

    どんどん詰め寄る望月にたじろぐ。しかし注意してもお構いなしに望月は話を続けた。

    「答えは簡単。僕は二型先生に会いに来ているんです。」

    望月の顔が更に近づいてきて、ドキッとする。整った顔立ちをしている男が迫ってくるというのはなかなか心臓に悪いものがあった。

    「そ、それが分からないんだよ。なんでわざわざ会いに来る必要があるんだ?」
    「……マジかこの人…」

    怒りを通り越して呆れたような顔をされ困惑する。俺が悪いのか?

    「……あのですね、普通は好きな人と少しでも一緒にいたいな〜とか思うものだと思うんですけど」
    「すっ……!?」

    あまりにもストレートな物言いに、つい動揺してしまった。
    俺のことを好き?俺たちは教師と生徒だとか、そもそも男同士だろとか、そんなことが頭を過ぎるが気が動転して言葉が出てこない。そうこうしているうちにも望月はどんどん迫ってきていて、もはや互いの吐息がかかるくらいの距離だった。
    流石に耐えられなくなった俺は、思わず目を瞑ってしまう。すると次の瞬間、額に柔らかいものが触れた。
    驚いて目を開けると、そこには悪戯っぽい笑みを浮かべた望月がいた。

    「ははっ、隙ありですね」

    その言葉を合図にしたかのように、俺はハッと我に帰る。そしてすぐに望月を押し退けた。

    「お前!何やってるんだ!!」

    俺が怒鳴ると、望月はニヤリとした笑みを見せた。

    「キスされると思いました?」
    「なっ………!!!」

    図星をつかれて絶句してしまう。そんな俺を見て望月は満足そうに笑うと、そのままベッドの上に横になった。

    「さっきの質問の答え、分かりました?」
    「……分かるか、馬鹿野郎」
    「えぇー、残念ですねぇ」

    望月は不貞腐れたように口を尖らせる。しかし、その表情はすぐに消え去り、代わりに真剣な眼差しを向けてきた。
    今度は何をするつもりなのかと身構えるが、特に何もしてくる様子はない。ただ、真っ直ぐにこちらを見つめていた。
    一体何がしたいのか分からず戸惑っていると、望月はおもむろに口を開く。
    しかしその口から発せられたのは予想外すぎる言葉だった。
    ──好きです、先生。
    そう言って微笑む彼の表情は今まで見たどんな笑顔よりも美しく見えて、思わず見惚れてしまう。
    俺は何も言えずに黙り込んでしまった。
    しばらく沈黙が続いた後、ふと望月が時計を見やった。

    「あー、もうこんな時間ですか。じゃあ僕はそろそろ行きますね〜」
    「あっ……ああ……」

    望月はベッドから起き上がると、「また来ます」と言って保健室を出て行く。
    そしてドアを閉める直前に振り向くと、もう一度笑って言った。

    「僕の気持ち、考えておいてくださいね」

    パタンと音を立てて扉が閉じられる。
    一人残された俺は、呆然としながら先程のやり取りを思い出していた。
    (……いや、あいつ絶対俺のこと揶揄ってるだけだ)
    あんな風に言われたら誰だって勘違いするだろう。
    しかし、何故か心が落ち着かない。
    望月のことを考えれば考えるほど胸が苦しくなった。
    この感情が何なのか分からないまま、俺は頭を抱えるのであった。
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