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    hisoku

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    POIPOI 56

    hisoku

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    昔書いた掌篇小説です
    杉語り、尾の寝る時の癖に気付いた話です

    #杉尾
    sugio
    #現パロ
    parodyingTheReality

    両手に収まりきらない程の 同棲を始めて毎晩一緒に寝るようになって、尾形が寝ている間はいつも両手を握っていて、ぐーをしている事に気が付いた。毎晩、毎晩、時には眠る前に手を繋いでいたりすることがあっても、いざ眠りに落ちて繋いでいた手がするりと解けると同時にぐーになる。きっかり両手を握り締めていて、ぱーの手になっていた事がない。柔くもなく常にきつく握り締められていて、それに気付いてから目にする度に不思議だと思った。
     こいつは力んで寝ているのだろうか、そんな力を入れたまま寝て休めているのだろうか。夜中にトイレに起きたついでに気になって握っている手の指を開かせてみたくなった。腹這いになって尾形の手元に顔が来るように寝そべり、一本ずつ曲げている指の関節を伸ばしてやろうと指に触れる。親指は人差し指の隣につけられていたので、先ずはそれをそっと横にずらした。出来た隙間から人差し指の第一関節を優しく掴むと起こさないよう細心の注意を払いながら手のひらから離すように伸ばしてやる。開いたら、自分の手の甲の縁で押さえて中指も広げようとした時に声がした。

    杉元。

    あ、ごめん、起こしちゃったか。

    それ、やめろ。

     寝起きなのと今夜も長い時間喘いでいたのとで話す声が掠れていた。

    お前、いっつも手に力入ってるから、ぱーにした方が深く眠れるんじゃないかと思って。

    零れるからやめろ。

    零れるって何が。

    今日、お前との間で起きたこととその時に思ったことが。

    それを握って寝てんのか。

    そう、思っている。

     寝起きだからなのか尾形から言葉が素直に出てくる。

    何でそれが手の中にあるんだよ。

    一度に胸の中に入れると処理しきれないから。それにこうしていれば失くさないで済むだろ。

    そんなにいっぱいあんの。

    あっちゃ駄目なのか、別にいいだろ、俺の勝手だろ。そんなことにまで口を出すなよ。余計なことしやがって、眠いのに、目が冴えた。

    両手、繋いで寝直すか?

    両手なんか繋ぐかよ。

     そう云うと尾形が俺の手を振り解いて、また両手を握り締める。もぞもぞと身体を動かして横寝になると顔の横に握った両手を置き、膝を曲げて少し丸まって、それから少しの間、両手を見つめた後に眼を閉じた。手にぎゅっと力が入る。それを自分も少しの間見つめてから、上から包むように両手を添えた。
     零れませんように。こんなに力んで馬鹿だろう。強張らせて寝て。でも手を開いて寝ているところを見たことがない。つうか、両手で足りてるのかよ。両手に収まりきらない程の感情とか想い出とか、もっとぶつけてやろうか。そうしたら、手も開けるだろう。俺に抱き付いて寝るようになるだろう。素っ気なく寝返りを打って背を向けた尾形を見つめながら、見てろよ、と思って目を閉じた。
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    hisoku

    DOODLE過去作
    湯沸室で杉と尾がお茶を飲む話です
    前世記憶あり現パロ
    尾語り
    湯沸室 喫煙をする習慣はないので、就業中の休憩といえば緑茶だ。あるいは珈琲。それと少しの甘いものかしょっぱいものを一口頬張るのが日課で、デスクワークに根が詰まり、肩も凝りそうだったので仕事の効率が落ちる前に気分を変えようとひとり湯沸室に向かった。買い置きのドリップコーヒーを淹れるために湯を沸かそうと薬缶のことを思い、買い置きのミネラルウォーターはまだ残っていたっけと思い起こしながら廊下を行く。
     スタッフルームのあるフロアの一角、廊下奥の角の階段と廊下を挟んだ少し離れた斜向かいにトイレが、その対角線上の奥まった場所にひっそり湯沸室はあった。そこは小会議室の並びでコの字に壁と壁と窓に挟まれた造りになっていて、二畳半程の広さがあり、冷蔵庫と棚、その棚の上に電子レンジ、隣に小さな流し台があった。流し台にはガス台が二口と壁にガス給湯器が備えつけてある。どうってことはない必要最低限が備え付けられている極普通の湯沸室だが、流し台が木目調の引き出しのついた懐かしい感じのする流し台で、ばあちゃん家の台所を彷彿とさせて、そこを緑茶を飲みながら眺めているだけでも癒しを覚えた。面積の狭さも落ち着く。
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    ポイピクミッシェルさん

    DONE今年は月イチでSS書くぞ!と決めたので早速書きました。
    タイトルはそのまんまなので味気ないです😂
    セッフレのsgoが恋人になるハピエンのお話です。
    2023年1月「…」
    「あ、おかえり」
    「…ただいま」
     また尾形が帰ってきた。
     帰ってきた、というのは少し違う感じだが、帰ってきた。
    「冷蔵庫、開けるぞ」
     ぼそりと呟くように言って尾形は冷蔵庫から麦茶のボトルを取り出した。
    「はい」
     俺が花柄のコップを差し出すと「ありがと」と言って受け取り居間まで行ってそれをテーブルに置き、自分も座った。尾形は自分で注いだ麦茶を一口飲んで、肺ごと出てくるんじゃないかというほどの大きなため息をついてテーブルに伏せった。

     尾形はこの家の住人じゃない。お隣さんだ。だから帰ってきた、はおかしい。そして俺たちは家族でも恋人でもない。まあ友だちと言えば友だちだが何もないと言えば嘘になる…そんなちょっと後ろめたい間柄だ。小学校の頃からのツレで「目つきが悪い」とか「態度が悪い」とかいう理由で喧嘩から始まった腐れ縁、だったはず。詳しい所は忘れてしまったくらい過去の話だ。その割にはいい歳になった今でも何となくずるずるとここまで来た感じ、と多分尾形は思っている、と思う。
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    🐰🐯

    DONE【安ピク】
    現パロ安ピク(ピクてゃ出てないけど)
    某2ちゃんの書き込みのパロです。
    安原課長の部下なパペくん視点のお話。
    安原とピクてゃは同棲してる恋人設定です。
    安原課長のお昼ご飯〜喧嘩した次の日編〜僕が配属された部署の課長である安原さんはデキる人だ。
    端正な顔立ちだが若干強面で仏頂面の安原さんだが、話してみると意外に軽快な人で部下にも慕われていて、僕達部下からすれば頼れる兄貴分みたいな存在だ。
    それに頼もしく人望も厚い上に仕事が出来る人でもある。僕の先輩に当たる人によると安原さんが配属された後業績がうんと上がったという噂もある。
    要は安原さんは僕達部下にとって憧れの存在でもあった。
    そんな安原さんだが、今日の安原さんはいつもとてんで違った。

    出社時から頗る機嫌が悪い。部下の僕達や会社の人に対する態度は至って普段通りなのだがそれ以外の時の機嫌が爆発的に悪いのだ。
    デスクに座って部下が提出した書類を確認しているだけなのにその背中から醸し出すオーラは尋常では無く、その書類の作成主であるハピはまるで大目玉を食う直前の子供の様にデスクで縮こまり半泣き状態である。あまりにも可哀想なので昼飯を奢ってやろうと心に決めた僕。
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