5. Orphans 親がいるって、どんな感じなんだろう。
メァリはアーケードをそぞろ歩きながら、ぽつりと、そんなことを考えた。
傍らを、妙な帽子をかぶった子供たちが駆け抜けていく。
街は木の実とガラス玉で彩られ、背の高い街路樹にリボンが巻き付けられている。
古の神の生誕に由来する、冬の祝祭だ。
聞き分けの良かった子供たちが枕元に靴下を置いておくと、眠っている間にプレゼントが届けられるという、特別な夜。
メァリもこっそりと、巨人サイズの靴下を用意してみた。何が欲しいのか自分でもよく分からないけれど、とりあえず小さめの剣や盾が入るくらいのものにしておいた。
この世界に生まれ落ちて、知識と経験がバラバラなままに、戦い方ばかり上達していく。先生がいてくれて、仲間たちがいてくれて。どうにか、道を見失わずに済んでいるけれど。
3009