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    ムーンストーン

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    ムーンストーン

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    ダイの大冒険 ハドアバで現パロですがほとんど現代らしい所がでてこない。
    ハドラーとの出会いから別れを手紙で回想するアバンです。
    二人は転生して若干容姿も変わり、名前も変わりましたが出会った瞬間に最速で結ばれた設定(生かされていない)
    アバンの前世の善行のお陰と、種族差だの性別だの年の差だの細けーこたあいいんだよ障害は無くしたから後は自分で頑張れと人間の神様がハドラーの最後の祈りをくんでくれました。

    #ダイの大冒険
    daiNoDaiboken
    #ハドアバ
    hadabah
    #アバン
    abundance
    #ハドラー
    haddler
    #現パロ
    parodyingTheReality

    逝き去りし貴男へ貴男へ

    貴男に手紙を書くのは初めてですね。
    あの頃は手紙を書くのも届けるのも一苦労。
    便箋なんて中々売っていないし、書けたとしても送る手段が限られ相手のいる近くに行く用がある、信頼できる商人や旅人に託すしかない。
    その上長旅の途中で紛失したり商売の都合で渡すタイミングが遅れたり、返事は期待しない方が精神衛生上良い位。

    手紙に花言葉のような惹句をつけるとすれば「不確実」でしょうか。
    それでも人は手紙を書くのです。
    相手の為より自分の為に。

    そもそも貴男の場合長い間宛先、というか住処が分からなかったですし。
    私も修業の為に世界中を旅していましたからもし貴男が私に手紙を書いたとしても届けようが無かったと思えば…あぁ貴男は鏡にメッセージを書けましたね。

    あれは任意の「鏡」に映し出せるものなのか、それとも貴男の飼い主がしたように「鏡」と呼ばれる物総てに表れるものなのか…私としたことが確かめられませんでした。

    だって魔王からのメッセージが届いたんですよ?慌てて浮足立つのは当たり前じゃありませんか。
    そう見えないよう取り繕うのが精一杯でした。
    いつでもクールに、客観的に観察し対策を練るなんて若い頃は難しかった。
    まだ14才だったんですよ!
    貴男あの時何才でした? 
    ずーっと年上の癖にイキリ散らして馬鹿笑いして竜に立ち乗りしてお城に乗込むなんて。

    今思えば恥ずかしいったら、自分の言動じゃないから私に責任はありませんけどはっきり言って黒歴史です。反省して下さい。

    〈魔王〉なら一度は〈姫〉を拐うのがお約束だというのはわかります。
    ですが女性を誘うときはもっと優しく!決して神への生贄として捧げてはなりません!!
    同じ姫ならオトギリ姫となら良い勝負ができたのでは?!
    …ああ、貴男なら俺の家来になれと言いながら姫にベギラマやメラゾーマを叩き込むのが目に浮かぶようです。

    かく言う私が倒しておいてなんですが、彼女には大切な事を教わりました。
    愛には恋には、種族の違いは些細なことであると。

    彼女の情熱が、当時の私の心を大いに揺さぶったと言えるでしょう。
    誠に残念ながら彼女の思いには応えられませんでしたが、私の内なる想い、恋の埋み火をかきたてられたのは事実です。

    マトリフには「とうとう焼きが回ったか」とため息をつかれましたっけ。
    彼はとても聡明で察しがよく、世間なれして経験豊富〜勿論恋愛も〜でしたから何度も諭され心配され怒られました。
    でも駄目でした。
    お祖父ちゃん子だった私が最も心配かけたくない筈のマトリフにどうしても「はい、諦めます」と言えなかった。
    ええ、どうしても!

    腸をねじ切られるような、胸に大穴が空いたような、今何処に立っているのかもわからなくなる、こんな苦しみをもたらす物が愛だなんて。

    毎日朝も昼も夜も眠りの中でさえただ一人を想い続ける狂気が、恋だなんて。

    知りたく無かった。でも一度知ったらもう忘れることができない。

    恋とは乙女が憂いの眼差しをし、か細いため息をつくことでは無かったのか?
    愛とは若者が想いを寄せる女性を我が身を顧みず守ることでは無かったのか?

    吟遊詩人が歌い恋物語に綴られた、最後に悲劇が訪れるとしてもなお甘い、誰もが憧れる美しいモノは私には訪れなかった。
    最後の悲劇だけはたっぷりと、何度も味わったけれども。

    「さてこの手紙どうしましょうね」
    書き上げた手紙を封筒にいれ、アバンは封蝋印を押して何度もひっくり返して眺めたがこれ以上できることがない。

    だって受取人…受取魔族…魔王?はとうに消えているからだ。私の腕の中で。

    宛名は兎も角、宛先は書けない。
    魔族のあの世とやらは人間が想像しているのと同じ天国なのか、地獄なのか、はたまた煉獄?
    それがどこであれ彼が居ないことだけは確信しているがこの場合白紙でポストへ入れるべきだろうか。

    逓信局に無駄な労力を使わせるのは本位ではない、と思い直してまた考える。

    彼の身体は灰と化し、天空の城から天へ吹きさらわれたのだった。
    ならば極東の国に伝わる「お焚き上げ」火で浄化し煙として上天へ届ける儀式で送るべきだろうか?

    已んぬるか哉、現代は戸外で焚き物をすると官憲とご近所さんからお叱りをうけるのだ。

    ならば色気も素っ気もないがフライパンの上で手紙を灰になる迄燃やし、換気扇から煙を天に立ち昇らせるしかないか、とため息をついた所で封筒がヒョイと取り上げられた。

    「ハドラー いつから居たんですか?」
    「手紙を前に何を百面相しているのかと見ていたら声をかけるタイミングが無くてな」
    返して下さい、とピョンピョン飛びながら手を伸ばすがエグい身長差のお陰で全く届かない。
    「俺宛なら俺が読めば良かろう」
    「なっ、なんで貴男宛だと思うんですか?」
    宛先は白紙ですよ、と言えば珍しく眉を下げてハドラーは言葉を選ぶ。
    「あんな顔をしながら書く相手がオレで無ければ到底許せん」

    あぁその声、その表情。ズルいです。
    私の一番弱い所にジャストミートです。
    これが惚れた弱味というものか。

    手紙を持った手の袖をつまみ、俯き頬は真っ赤になっているアバンを軽々と横抱きにしてハドラーは寝室へと向かった。

    「そんなに嫌なら読みはせぬ。その代わり口述して貰おう」
    寝物語でな、と笑うハドラーは確かに曾ての魔王らしい笑みを浮かべていた。
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    ムーンストーン

    DONEダイの大冒険 リア連載時から疑問だったバルトスの敵討ちについて書き連ねました。
    以下バルトスファンとヒュンケルファンには申し訳ない話しが続きますが個人の感想なのでお許し下さい。

    ハドラー(造物主)のから信頼より子への愛情を取って責任追及された事をメッセージに残す=ハドラーへ遺恨を残すことになりませんかとか魔物と人間とは騎士道精神は共通なのねとか。
    ダイ大世界は生みの親〈〈〈育ての親なのかも。
    20.審判(ヒュンケル/ランカークス村)〜勇者来来「勇者が来るぞ」
    「勇者に拐われるから魔城の外に出てはならんぞ」
    懐かしい仲間たちと父の声が地底魔城の地下深く、より安全な階層に設えられた子ども部屋に木霊する。
    この世に生をうけ二十年余りの人生で最も満ち足りていた日々。
    ヒュンケルがまだ子どもでいられた時代の思い出だ。


    「暗くなる前に帰んなさい!夜になると魔物がくるよ!」
    黄昏に急かされるようにランカークス村のポップの家へ急いでいた時、ふいに聞こえてきた母親らしい女の声と子供の甘え混じりの悲鳴を聞いてヒュンケルとダイは足を止めた。

    ヒュンケルが声の主はと先を覗うと見当に違わず若い母親と4〜5才の男の子が寄り添っていた。
    半ば開いた扉から暖かな光が漏れ夕食ができているのだろうシチューの旨そうな匂いが漂う。
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    ムーンストーン

    DONEダイの大冒険 ナバラによるアルキード滅亡の日の回想です。
    テランの人口が急減した理由の一つに理不尽すぎる神罰があったのではないかと思います。
    あの世界の殆どの人は結局アルキードが何故滅びなければならなかったのか知らないままだから神の力の理不尽さに信仰が揺らいだ人も多いと思います。
    夢から覚めた日〜ナバラ「あの日」のテランは雲一つない穏やかな陽気だった。

    暑くもなく寒くもなく、洗濯日和と言わんばかりの優しい風が吹きすぎる。
    そんなうららかな日だというのに何時にないむずがりかたをするメルルにナバラは朝から手を焼いていた。

    「いつもお利口さんなのに今日はご機嫌ななめだねぇ」
    女所帯のナバラ達を気にかけて何かと助けてくれる近所の若者、ドノバンがあやしてくれたが更に大声で泣いてメルルは家の中に駆け込んでしまった。 
    「全くだよ。せっかく忙しいお兄さんが遊んでくれたのに」
    悪いねぇと詫びるナバラに、たまにはそんなこともありますよと気の良い笑顔を向け、若者は花と香炉の入った籠を取り上げ竜の礼拝所へ朝の礼拝に向かった。

    「全く信心深い子だよ。テラン人の中でも朝晩欠かさず竜の神殿に詣でるなんてあの子位だ」
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