健全な地獄のラ!人が笑う姿を見るのが好きだった。
人が苦しむ姿を見るのが嫌だった。
だから、立ち上がったのだ。
痛みも、苦しみも、悲しみもない国を作ろうと
皆がしあわせで、毎日を安心して過ごし、笑顔が溢れる国を作ろうと思っただけなのだ。
何時からだろうか、人々が幸せを当たり前のものとしてその尊さに気が付かなくなったのは
何時からだろうか、痛みや苦しみ、病気や死からも解き放たれた彼らが義務のようにうすら寒い笑みを象った仮面を付けるようになったのは
何度問うても答えが出ない思考の堂々巡りを繰り返しながらシュウは、浅い眠りの上澄みだけを掬うような夜を何度迎えたのだろか。
幾つもの夜と絶望の朝を迎え、気が付けばシュウは息をするだけの屍のような生をただただ無為に消費してた。
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