空閑汐♂デイリー800字チャレンジ:27 三人の男達を廊下に残し、一人道場へと足を踏み入れた篠原は眼前に広がる光景に思わず片手で顔を覆っていた。突然現れた先輩の姿に救いを求めるように後輩達の視線が向けられる。
「何の事件現場だ?」
篠原の口からは、あまりにも物騒な言葉が溢れていた。
「篠原先輩……! いい所に!」
「息はあります!」
「汐見先輩の上段蹴りで空閑先輩が宙を舞ったんです!」
「よし分かった。すげぇ分かりたくないんだけど、大体分かった」
汐見も頬を腫らしていたが、空閑はその比ではない。完全に伸びてしまっている空閑の元にしゃがみこんだ篠原は軽く彼の頬を叩く。ぼんやりとしていた焦点が篠原へと結び、空閑は幾度か瞳を瞬かせる。
「空閑、今の状況分かるか?」
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