小さなお姫さま。「こんなに降る予定じゃなかったのに…ほんとついてない。」
「ふぇ…。くまくんしんじゃやだぁ…。」
「ん?あー…落としちゃったの?」
「お、お…。」
「え?何?」
「おうじさまだぁ…。」
「あっはは!王子さまかぁ!」
「おうじさまって、ほんとにいるんだぁ…。」
「それじゃあ、君はお姫さまだよねぇ?」
「え?」
「可愛いお姫さまは、こんなところに一人でどうしたの?」
「あ、あのね…!このくまくんがね、濡れちゃったの…。」
「それで泣いてたんだ?」
「うん…。」
「ちょっと貸してくれる?」
「ん…。」
「ありがと。確か…タオル持ってたから…。」
「…。」
「はい、これで綺麗になったよぉ♪」
「わぁ!ありがとう♪」
「どういたしまして♪」
「あ、あの…おうじさま?」
「ん?なぁに?」
「おなまえ…。」
「あぁ、そういえば言ってなかったっけ。俺は瀬名泉。」
「せな…。せな!」
「その呼び方されると変な感じするけど…まあ、お姫さまに呼んでもらえるならなんでもいいか。」
「?」
「ほら、風邪ひく前にお姫さまはお家に帰らないと。」
「うん!えーっと、おれい…。」
「お姫さまの笑顔か見れただけでも俺は幸せだよ。」
「せなって、どこのおうじさまなの?」
「うーん…王子さまっていうよりは、ナイトかな。お姫さまを守る騎士ってとこ。」
「そうなの?じゃあ、せなはおうじさまみたいな、わたしのないとだね!」
「っ、ありがとう。」
「せな…またあえる?」
「うん、きっと会えるよ。いつでもお姫さまの見えるところにいるから。」
「わかった!やくそくね?」
「約束♪そのくま、今度こそ落とさないようにね?」
「うん!じゃあ…またね、せな!」
「またいつか、お姫さま♪」
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「ただいまー!」
「おかえり、急に降ってきたから迎えに行こうとしてたのよ。」
「あのね!わたし、おうじさまにあったの!」
「王子さま?」
「うん!くまくんのこと、助けてくれたの!」
「そうなの?優しい王子さまね♪」
「うん!あのね、せなっていうの!せなはね!おうじさまで、ないとなんだよ!」
「ふふっ♪パパが聞いたら大変ね♪」
「どうして?」
ガチャ…
「ただいまー。」
「噂をすれば、ちょうどパパが帰ってきたみたい。」
「ほんとだ!パパー!おかえりー!」
「お腹空いた〜。」
「もうご飯だから、手洗ってきてね。」
「はーい。」
「じゃあ、戻ってくるまで待ってよっか。」
「うん、テレビつけてもいい?」
「いいけど、なにか見たいアニメでもあったの?」
「ちがうよ。せながみてねって。」
「そうなの?」
「ごはん〜♪」
「ねぇ、パパちょっと聞いてよ…今日ね…?」
「そんな、遂に好きな男の子が…。そんなの、パパよりイケメンじゃないと認めない!」
「子どもの好きに張り合わないの、まったく。」
「あ!ママみて!せなだよ!」
「え?せなって…。もしかして、この人が助けてくれたの?」
「うん!わたしのないとだよっ♪」
「イケメンだ…。いや、美人…?パパ、かなう気がしない…。」
「我が子ながら、見る目あるわね…。」
「せなはね、すっごくかっこいいんだよ!くまくんもたすけてくれたし、わたしのことおひめさまっていうの♪」
「お姫さまって…確かに、それは王子さまねぇ。」
「でも、せなはおうじさまみたいだけど、ほんとはちがくて、わたしのないとだよ。」
「嫁に…。」
「パパ、しっかり!」
「せなとやくそくもしたの♪」
「結婚…?」
「ふふっ♪わたし、せなのことだいすき♪」
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「随分遅かったじゃん?雨、そんなに酷かったの?」
「んー…まあ?」
「?」
「なんでもないよ。」
「セッちゃん、いいことあったでしょ?」
「なんで?」
「入ってきたとき、ちょっと嬉しそうな顔してたから。」
「まあね。くまくん助けただけだよ。」
「え?俺?」
「あんたじゃなくて。くま違いだからぁ〜♪」
「え〜?おしえてよ?」
「実は…。」
「そんなことしてたんだ?なんか、セッちゃんらしいね♪」
「そうかな?でも、俺はお姫さまの笑顔がやっぱり好きだよ。」
「そういうとこ♪」
「もうそろそろだし、雑談はおわり!しっかり仕事しないとねぇ♪」
「うん♪かっこいいとこ見せないといけないしね?」
「もちろん、俺が一番だけど!」
「負けてられないね?」
「スタンバイお願いしまーす!」
「俺のこと見てくれてる〜?今夜も楽しんで行ってねぇ、お姫さま♪」
fin.
「わたし、せなにあいにいきたい!」
「ママは嵐ちゃんに会いたい!」
「パ、パパも…!よし、次のKnightsのライブ、絶対チケット取るぞ!」
ーライブ中ー
「セッちゃん、あそこにいるのって家族かなぁ?」
「どこ?」
「ほら、あそこ。」
「!」
「ねぇママ!せながこっち来たよ!」
「な…!」
「今日は来てくれてありがとう。俺との約束、覚えててくれたんだ?今日は最後まで楽しんで行ってね!お姫さま♪」
「うん♪」
「さすがファンサの厚いアイドル…。呼吸忘れるところだったわ。」
「綺麗だ…。」
「ママ、やっぱりくまくん連れてきてよかったね!せなも嬉しそうだった!また会おうね、せな!」
「チュッ♡」
「「「!」」」