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    まつの

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    まつの

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    ピクシブにもあげました。
    治→ミリです。

    一週間一週間
    一日目


     だいぶ前から分かっていた。
    今日の朝から言おう、昼に電話して、いや、こういうことは対面がいいよな。とズルズル夜まで引っ張ってしまった。
    「そろそろさあ、同居解消になると思うんだ」
    「うん」
    「一週間後このまま同居か一人暮らしするか聞くから教えてね」
    「ああ」
    ドキドキした。こういうの切り出すの緊張するんだよね。やりきった顔をして治崎を見る。あ、蕁麻疹でてる。

     そもそも始めは同じフロアなだけだったのだ。治崎の限定的な出所に伴い定期訪問をすることになり、治崎の特性に理解がある人間が二名、もしもの為に一人が同じフロアかもしくは同居。どうせ自分がもしもの為の人員になることは分かっていたので、同居は向こうも嫌だろうと最初のうちに伝え、同じフロアの隣の部屋へ引っ越した。そうやって始まって二ヶ月が経った頃だろうか、三人が二人になり、一週間後通形一人だ。その頃には治崎も玄関先から、気分なのか分からないが、中に通してくれるように、そして気付いたら一緒に住むことになっていた。隣の部屋は今でも空室のままだ。
     高校を出てからずっと一人暮らしをしていた通形はなんだかんだ治崎との生活が気に入っていた。綺麗好きなので、基本物が少ない。自分とは大違いだ。そしてやっぱり家に誰か居るのは良い、治崎だとしても。


    二日目

     
     昨日治崎なんともなさそうな顔してたけど、蕁麻疹出てたなあ。して欲しくないことだったり、嫌いなものはハッキリ言ってくれるから蕁麻疹が出るのは久しぶりだった。一週間しか期限がないの、嫌だったのかも。通形はそう結論付けて本日の活動に向かった。
     あわただしく一日が過ぎ朝のドキドキも薄れて、今週当番治崎だなー、最近あってないようなものになってるけど昨日の残りお昼に食べてそうだな、なにか家にあったかな等とりとめの無いことを思い浮かべながら帰宅した。
    「ただいま」もはや習慣となった挨拶をする。
     静かだな。治崎たまに変な時間に起きてるしなあ変則的なの良くないけど、自分が口出すことじゃないし。手洗いうがいを済ませ、自室で部屋着に着替える。
    なんとなく気になり、治崎の部屋へ。
    「治崎、入るよ」ノックはしない。顔だけ透過する。因みにこの時変顔をしているが、笑ってくれたことはない。「10点」とだけ言われたがあれは満点だったのだろうか。
    「なんだ」
    「ただいま」
    「おかえり」
    「で?」
    「なんとなく、気になっただけ。ご飯食べた?」
    「いや、要らない」
     とりあえずご飯食べよ。通形は治崎の部屋から顔を出しキッチンへ向かう。何かあったかなあ。

     三日目


     隣の部屋から物音がする。朝のアラームはまだ鳴っていない。
    「…………ねむ」
    外は静かだ。しばらくぼんやりしていたが、だんだんと意識がはっきりしてきた。布団の中で伸びをする。
    今日治崎に会いたくないなあ。違うな、どうするかを聞きたくないなあ。かも。なんだかんだ半年くらい一緒にいた気がする。まあこれからも居るかもしれないけど、決定権は自分に無い。アラームが鳴った。


    四日目 ※治崎視点


     生きているうちに再び外に出るなんて思いもよらなかった。
    あそこでの生活は掃除、洗濯はまあマシな程度だったが一度酷い蕁麻疹が出てからはだいぶ改善されたが、それでも完全には治らなかった。それから義手が届き、リハビリの一環として掃除は自分で行うことになった。別にクレームをつけたわけではない、ただあれやこれ要望を伝えていたらおそらく職員は手を焼いていたのだろう。様々な条件付きでの出所となった。
     迎えの車の中に彼が居たことに一瞬苦虫を噛み潰したような顔をしたが「素直だね~てか覚えてたんだ、これからよろしく!」とだけ言われどうでもよくなった。今思えばあちらもやけくそだったのだろう。顔をしっかり見ておけばよかった。
    ルミリオンと生活をするにあたって出来うる限りの譲歩をした。
    大切なものはこれ以上増えないと思っていたし、増やそうとも思っていなかった。
     一昨日ルミリオンから言われた事を思い出す。元々一人だったところに彼を招き入れたのは自分だし、おそらく意図は伝わっていないだろう。
    ルミリオンが好きだ。



    五日目

     早朝ランニングを終えて帰宅したところに治崎が起きてきた。
    「おはよう」
    「……おはよう何か食べるか」
    「着替えてくる、お湯沸かしてて~」
    こうやって出てくることは珍しくはないけれど、同居うんぬんの話をした週ということもあって少し緊張する。自分の場合は起きてくるという時間だが、治崎は夜通し起きていたという顔をして出てくることが多いので、今日もそうなのだろう。顔色が悪い。

    「まず、同居の話だが」ほらきた。普段通りを装い、お湯を飲む。
    「続けていきたい。理由いるか?」
    「一応」
    「その方が助かる、色々と」
    「いろいろ」
    一週間も要らなかったし、なんなら次の日にでも聞けばよかったな~なんて呑気に思っていた。
    「そして俺はお前が好きだ。ルミリオン」
    油断してた。あ、蕁麻疹でてる。


    六日目


     今日は思っていたより早く事務所に帰れそうだ。だから家にも、家にはどこかで時間を潰して帰ろう。考え事をしながら歩くなんて普段だったらしないけれど、これは人生の分岐点だという気がしている。治崎に好きって言われた。そして、身体のどこかに唇が触れそうな位近付かれたが、蕁麻疹が広がっていくのが見えて慌てて止めた。上手く飲み込めない。最初一緒に住んでくれって言ったのもそういう?って聞いたらそこは否定された。というかなぜこのタイミングで告げてきたのだろう。裏でもあるのかな?その可能性が捨てきれない。電子機器や郵便物まで制限されているが、万が一がある。
    もうすぐ事務所だが足を止める。
    「………相談してみようかなあ」
     「どこが好き?」と聞きそうになるくらい意識していると気付いたので、相手を濁して友人に相談してみたが、途中でそういった相談をしていることがなんだか気恥ずかしくなり「こういうのは自分で答え出さなきゃね!」とかなんとか言って終わらせた。今のところ嫌いじゃないかもに落ち着いている。


    七日目※治崎視点

     夕べは遅く帰ってきたようだ。悩んでいるようで何より。
     過去の行いがあるのでとても疑われている。まあそうだろうなと治崎は納得している。あのまま押していけば、言質は取れなくとも性的接触は出来たかもしれない。「蕁麻疹!広がってる!」と言われたらしょうがない、惜しかったな。人を好きになったことはあれど、こんなに触れたいと思ったことは数えるほどしかない。別に死ぬまで添い遂げたいなど馬鹿げたことは考えていない、ただ、一瞬でも自分に寄り道して欲しい。


    おわり



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