それが惚れた弱みと言うヤツです。「先生さぁ、俺の事信用してなさすぎじゃね?」
虎杖は、少しムッとしたような、呆れたような顔で、独り言のように嘆いた。
ソファーにドカりと座り、真っ黒なサングラス越しに旅行雑誌に目を落としている恋人に向けての言葉。
久々の休日デートにて、些細なことから機嫌を悪くしたのは大の大人の方。
それも、コレが初めてではない。度々のことで、流石の虎杖も呆れとイラつきを感じてしまっていた。
カフェでの昼食の後、映画館のチケット売り場の近くで、チケットを購入してくれている恋人を待っていた虎杖が、四、五十代のオッサンに声をかけられた。
それはただ、近くの店の場所を聞かれただけだったのだが、笑顔で気さくに応えている虎杖を目撃し。その恋人、五条悟は不機嫌を顕にして、その後ほぼほぼ無言で映画を見て帰路についたのだ。
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