幸福な獣 【囚われる獣の書き下ろし 抜粋】「とりあえず、異常はないな」
家入が悠仁の目を見てニコッと笑うと悠仁はホッと表情を緩めた。
「薬はしっかりと抜けている。アレだけの量を飲まされて一晩で解毒とは流石だな」
「よかったぁ」
悠仁が嬉しそうにそう答えると後ろに立っていた五条と夏油も嬉しそうに声を掛けた。
「あ~よかったぁ」
「これで一安心だよね」
「安心?」
夏油の言葉に家入は眉根を寄せた。
「硝子?どうかした?」
「どうかした?じゃないだろう」
家入の表情が険しくなっていく。
「薬はいい。薬は。虎杖の体質上、大丈夫だと思っていた。だが、お前ら昨日私が言ったことを忘れたのか?」
とげとげしい声で問いかけると二人が顔見合わせてキョトンとした。
「何かあったっけ?」
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