Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    hiehiereitoko

    @hiehie_hiehie

    自由に書きます。人を選ぶやつばっか。多分。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 83

    hiehiereitoko

    ☆quiet follow

    フォロワーさんと盛り上がった共依存メンヘラメル燐
    ※メルが肉体的なDVをしているよ
    ※燐音が精神的なDVをしているよ
    付き合ったあとの地獄。そして歪んだ純愛の話。

    #メル燐
    merphosphorus

    俺っちとメルメルのラブラブ家族計画「なァ、メルメル」
    「なんでしょうか」
    「井上祐二。これ、誰? メルメル最近こいつとよく連絡取ってるみたいだけど」
    「……ただの仕事相手ですよ」
    ああ、まただ。また燐音の悪癖が出た。
    同棲したてのリビングルームで各々くつろいでいる時のことだった。
    目の前の燐音はにこにこと人の良さそうな笑みをしている。これだけ見れば然程問題はなさそうにも見える。
    が、内容が最悪だ。
    燐音の声が心なしか温度を持っていないようにも聴こえて、俺は背筋がビリッと嫌な痺れ方をした。
    俺が燐音と付き合って、勢いで同棲までして、一ヶ月。
    そこで俺は燐音がとんでもなく嫉妬深いことを知った。底なしの独占欲。少しでも関心が他人に向くだけでそれは誰なのか吐くまで終わらない。そうしてメルメルには俺っちがいるっしょとセリフだけは待ち望んでいたような甘い言葉を吐くのだ。
    その頻度が、あがっている。
    最初はさりげなく探りを入れてきたが、今じゃ直接尋ねてくる。直球も直球。変化球が得意の癖して、言い逃れが出来ないようにストレートに聞いてくる。というかこのひとの本名とかいつ知ったんだ。そんな素振りなかっただろ。
    またスマホを勝手に見たことに腹を立てるよりも、先に恐怖を感じる。
    ――あまりにタイミングが良すぎるのだ。
    だって俺はそいつと昨日やりとりをしていた。
    泳がされていた? 何で? 証拠を揃えるために? 俺を疑っていた? どこから見てる?
    計ったようなタイミング。出来すぎたワンシーン。
    それはきっと、偶然ではない。
    この男の計算のうちだ。
    「何、今の間。メルメルにしては歯切れわりィンじゃねェの」
    「誰のことだか一瞬わからなかっただけです。深い意味はありません」
    「そォ?」
    「はい。ただの仕事相手にすぎないので」
    仕事相手、の部分を強調して答える。
    実際も何もその通りであるのだが、燐音を納得させるように当たり障りのない関係であることを示さなければならない。
    ……しかも、燐音にバレたら面倒なやりとりをいくつかしている。
    勿論浮気でもなんでもない。
    ただ相手の好意をさりげなく受け取り、俺はことを荒立てないようにしているだけなのだ。
    いわば人付き合いの一環でしかなく、そこに燐音が不安を覚える必要性のあるものは何もない。
    だけど、燐音が知ったら面倒なことにしかならないので早々に話を終わりにしたくて仕方がない。
    都合が悪いことは何もないのだが、居心地が悪くて仕方がない。
    「本当に取るに足らない関係なのです。名前も一瞬思い出せなかったくらいなのですよ」
    「ふぅん」
    相槌は普通に返ってくる。多少不機嫌な気もしないが、問題ないくらいに普通。普通に俺の話に相槌を打つ。
    意思疎通は問題なく行えているとは思う。
    納得してくれただろうか。
    俺はチラッと視線を上げて燐音を見る。真意を探るように様子を伺う。
    何もない、と言い続ければ普通は納得してもらえる。燐音だってこの業界に付き合いや人脈が大事なのはわかっているはずで。
    だったらわかってくれるでしょうと望みをかける。HiMERUはHiMERUとして動いただけだと信じてもらえるでしょう。
    「取るに足らない仕事相手ねェ。にしては食事の約束とかしてンじゃん。何? 浮気?」
    「ちがいます。それは……」
    「うん。なァに」
    「次の……共演者で……」
    だけど、所詮それは俺の期待でしかなかった。調子のいい願望でしかなかった。
    燐音は話は聞いているようでまったく聞いていないようにも思える。
    話を吸い込んで飲み込んでくれない。それどころか説明すればするほど俺の方がどこか言い訳じみてくる。
    どんなに答えてもわかってくれないのは燐音の方だと言うのに、俺がいけないようにも見えてきてしまう。
    「……ッ」
    ああ、もうダメだ。
    俺は強い怒りを感じて、咄嗟に抑え込む。唾を飲み込み、耐えるように上を向いた。
    どうしようもない気持ちに、伝わらないことに、イライラしてくる。どうして俺がこんな目に遭わないといけないのだ。
    何も悪いことも燐音の思うようなやましいこともしていないのに。浮気なんてしてもいないのに。俺はちゃんと燐音だけだって伝えているのに。
    言葉が、怒りで震えてくる。
    俺は燐音が好きだ。
    燐音が他人をうまく信用できないこともまた知っている。
    それは燐音から聞くまで気づかなかったことだか、とても腑に落ちた。それでもいいと俺は言った。少しでも燐音の弱さに触れて、自分だけに明かされた弱さを知って、その特別感に酔い知れた。
    それゆえにこうして猜疑心を剥き出しにして、嫉妬してくることもあることも嫌いにはなれなかった。
    だからこうして少しでも安心できるように言葉を尽くす。そんな燐音を俺がなんとかしてやりたいとも思っていた。
    「……」
    だけど何をしても疑われるのは話は別だった。
    HiMERUは何も悪いことはしていないでしょう! どうしてそれがわからないのですか!
    そう叫んで、話も終わりにしてしまいたかった。どうにか燐音にわかってほしかった。
    ぐらぐらと頭の中が揺れ動く。どうにかしてやりたいのに、自分がどうにかなってしまいそうだ。話が通じないことにイライラしてくる。
    自分の思っていることすら綺麗事でしかないのかと反吐が出てくる。俺は聖人なんかじゃない。見返りも求めず人に優しくなんて、実際のところしたことがなかった。
    俺にはそんな殊勝な優しさなどないのだと、燐音と話していると実感することがある。
    どうして自分を疑うのかとイラつきでおかしくなりそうになる。
    「これ、ふたりで会うの?」
    「いえ、ほかにもいますよ」
    嘘だ。この男とは二人で食事をしないかという話で纏まっている。向こうのほうが芸歴も人気も高く、断れば角が立つ。そう計算して承諾したのだが、そんなことを言うわけにいかない。二人きりで会うなんて言ったところで燐音の逆鱗に触れるだけだ。地雷があるとわかっていて踏む馬鹿はいないだろう。
    俺はなんでもない顔をして嘘をついた。必要な嘘だった。嘘はなるべく吐きたくはなかったが、嘘も方便というやつだろう。これ以上燐音の機嫌を損ねさせても百害あって一利なしだ。
    「……メルメルさァ、嘘だろ、それ」
    「嘘ではありませんよ」
    「こいつはふたりで会うつもりでいるみてェだけど?」
    「ああ、勘違いでもしているのではないですか?」
    「そォ」
    嫌な会話だ。危なげな橋を渡っている。薄氷を踏むような会話だ。
    緊張の糸は限界まで張りつめていて、今にも切れてしまいそうだ。
    この男の、燐音の地雷にいつ抵触するかわかったもんじゃない。どこで爆発するかわかったものじゃない。
    些細なことで意図も簡単に発火して、吹っ飛ぶ。何とも不安定な生き物になったと思う。
    簡単には他人を信じることができないのもわかっている。簡単には人は変われないということもわかっている。
    こうやって問い詰めるのは燐音が不安だからということもわかっている。
    だけどそれはそれ、これはこれと言わんばかりに俺は苛立ちを募らせる。いつものようにぽんぽんと話が通じないことに理不尽さを感じる。
    これが浮気なわけないじゃないですか。馬鹿じゃないのですか。
    そう、切り捨ててしまいたくなる。
    俺は我慢強い方ではない。
    わかっているのに、愛したいと思っているのに、それでもふつふつと嫌な感情が煮詰まっていく。
    どうして、わからないんだ。
    どうして、わかってくれないんだ。
    ぐるぐると怒りや苛立ちが身体を支配していく。ドロドロとした汚泥が心を汚染していって、歯止めが効かなくなる。
    燐音の問い詰めは終わらない。
    自分の思い通りに俺が動くまで永遠と俺を詰っていくのは想像がついた。
    「メルメルは俺っちに嘘をつくわけだ。それってもォふたりにはやましいことがあります〜って宣伝しているようなモノっしょ。なァ、メルメルそれわかってやってるっしょ。俺っちのこと試しているつもり?」
    「……」
    うるさい。
    気が付いたら衝動的に平手打ちをしていた。
    燐音の顔面に、左頬に、思いっきり俺の手が強くあたる。
    ぱぁんと乾いた音が鳴る。
    「ひ、っめるが、どれだけ……」
    涙も出てきた。もうわけがわからない。だって、だって、俺はちゃんと燐音のことが好きなのに。
    ちゃんと、好きなのに!
    やっと出会えた俺を愛してくれるひと。俺を見てくれるひと。
    だから好きになったのに。
    「どうして信用できないのですかッ」
    他人なんかそう簡単に信用できるわけがないと頭ではわかっているものの、こうも疑われ続けたら理性なんて吹っ飛んでしまう。
    俺はソファに燐音を倒すとそのまま馬乗りになり、首に手をかけた。
    喋らなくしてやればいい。その喋り続ける口を使えなくしてしまえばいい。
    もう聞きたくない。
    どうして、どうして……!
    燐音の太い首に俺の細い指が絡まる。親指に力を入れれば気道が塞がるのか苦しげな声がした。
    知らない。そんなの知らない。
    俺のことを見てくれないのが悪いんだ!
    言ってもわからない燐音が悪いんだ!
    さらに指に力を込める。指の腹が嫌な感触を訴える。柔らかい部分を無理やり押しつぶす。
    「め、るめる……」
    「あなたが、あなたが悪いのです! HiMERUはあなたのことしか見てないのに……ッ!!」
    ぼろぼろ泣きながら俺は燐音の首を絞めていた。
    もうこのまま終わりになっても構わないとさえ思った。
    伝わらない、伝わらない。どんなに言っても伝わらない。悲しい。嫌だ。燐音、燐音……。
    ぐぐっと激情のままに指に力を込める。もう何も考えられなかった。
    「っ、……」
    だけど、燐音の苦しげな声に我に返った。おかしな声。
    「ゲホッ、ゴホゴホッ、は、はぁ、はぁッ」
    怖くなって慌てて手を離せば、思いっきり咳き込んでいる。酷い咳のような、苦しげな燐音が目の前にいる。息を切らして、咳き込む燐音。俺はガタガタと震え始めた。
    俺は……今……何をした……?
    さぁっと顔が青ざめる。血の気が引いて心臓がうるさく鳴る。燐音のしっかりとした首にはくっきりと俺の指の跡が赤く残っていた。
    傷、つけた。
    俺が燐音を傷つけた。
    そんなつもりじゃ……。
    俺はガタガタ、ガタガタと震えている。自分のしたことが、してしまったことがどんどん実感を帯びていく。
    「ご、めんなさい、ごめんなさい、燐音。俺が、俺が悪かった。起きて、起きてください。HiMERUをひとりにしないで……!!」
    口調すらもぐちゃぐちゃで、涙までも溢れて止まらない。
    手のひらから押しつぶした燐音の首の、喉の感触がリアルに跳ね返ってくる。ぶにゅりとしたなんとも言えない肉だか皮だか骨だかの感触が俺の両手に残って消えない。罪の感触が、ずっと纏わりついて消えるどころか追い詰めていく。
    なんてことをしてしまったのだろう。最低だ。
    言葉で勝てないからと手が出てしまうなんてクズのやることだ。馬鹿のやることだ。それを、俺が、燐音に……。
    「ごめん、ごめんなさい。もうしないから、許して、許して燐音」
    ぽろぽろと泣きながら俺は必死に訴えていた。
    頭の中は罪悪感でいっぱいで、途端に不安になってくる。
    好きで、大切なのです。本当なのです。信じてなんて言えない。こんなことして許してもらおうなんて虫が良すぎる。それでも燐音に捨てられたら生きていけない。俺を見て、俺を理解してくれた。また一人になる。もう俺は一人には耐えられない。
    燐音のためだなんだ言って、本当は己が捨てられたくないだけなのだ。
    燐音をどうにか救ってやりたいのは、そうして燐音を救ってやった俺を見てほしいからなのだ。
    ボロボロと汚い本音が出てくる。
    愛だ恋だ言ったところで、俺はこの男に捨てられることを恐れている。
    びっくりするほど自分勝手で、どうしようもない。
    しかも手まで出してしまった。話が通じないからと言って暴力に訴えてしまった。
    そのうちに燐音の手が俺の手に触れる。俺よりもずっと男らしく、強い手がどうしてか儚く見えて俺はぎゅうっと握った。
    俺のことが好きで、不安になっているであろう燐音に俺は何てことをしてしまったのだろう。
    後悔と罪悪感で押しつぶされそうだ。
    「り、んね」
    涙に歪んだ瞳で燐音を見つめる。ぼやけてはっきり見えないけど、確かに燐音がそこにいる。
    しょうがないのだ。
    どうしようもないのだ。
    そうだ。すぐさま他人を信頼できるかといったら無理な話なのだ。わかるだろ。他人なんかそんな簡単に信用出来るものじゃないってのは。俺だってそうだから。その気持ちがわかるから。俺だからわかるのに。
    俺しか、燐音の孤独をわかってあげられないのに。
    ……だから無茶を要求している俺の方が悪い。
    燐音のことを知っていて、理解して、受け入れられなかった俺の方が悪かったのだ。
    最初から俺は燐音のことをわかっている。
    わかっているから、愛している。
    だからいい。今はこのままでいい。
    俺は離れないように燐音の手を握っていた。厚みのあるがっしりとした手が、ずっと弱々しく見えて、自分の行動の後悔に飲み込まれそうになる。
    あなたがいて、俺は、安心できる。
    それはすべての背景が虚構でも、本当も嘘も何もなくても、唯一信じられる幸せなのだから。







    「メルメルもう大丈夫だからな」
    俺っちはメルメルを安心させるように手を握りながら、ぐらぐらと充足感に陶酔していた。
    俺っちのためにこんなに真剣になるんだ。へェ。
    そんなに俺っちのことが好きなの。
    なんだかおかしくて、それ以上にメルメルの必死な形相にゾクゾクする。
    それを知るたび、見るたびに何かが満たされていく。これを幸せと呼ぶのだろうか。愛されている幸せ。そうかァ? 俺っちは笑う。こんな形でしか満足感が得られないことを一般的な言葉で表現することはきっと不可能だ。
    『愛している』
    わかる。わかるぜ。その言葉の意味も用法も。どういう時に使えば効果的なのかも、全部。
    だけど今まで足りちゃいなかった実感が今は少しだけ、ある。
    妙な気分になっていく。どれだけ本で、周りで、理解しようとしたことがこうしてどうしようもなくなったメルメルを見るたびに満たされていく。
    俺っちに心を乱されて泣いて許しをこいて捨てられないように狂っちまうほどに、ね。
    「可哀想なメルメル」
    ま、捨てるつもりなんて1ミリもねぇけど。
    それより……。
    「『すみません。あなたとは食事には行けません』っと。送信。あとブロックしとくか……」
    メルメルの文章に擬態して断りの連絡を入れる。メルメルのスマホを奪って、目の前でメッセージアプリを開いて文字を打ち込んだ。勿論俺っちはすみませんだなんてこれっぽっちも思っていないし、罵詈雑言で埋め尽くして尊厳すらも傷付けてやろうかと考えもするけれど、それをやったらメルメルの文章にしては齟齬が生じる。
    会話履歴も最初から全部見て、保存して、他の会話ログと同じくバックアップもとっておいたが、どこをどう見ても当たり障りない、このゴミへの社交辞令くらいしかなかった。だから同じようにして、疑う余地もなくメルメルから断った体にしてメッセージを送るのがいい。まぁ、こいつ明らかにメルメルに気があるし、断るだけで充分ショックだろうしこれでいいだろう。脅しの一つでもチラつかせてもいいけど、これで諦めるなら許してやンよ。
    これ以上接触するなら俺っちとメルメルのハメ撮りでも送ってやろうと思ってすらいるけど、それは最終手段だ。なんでかって、見せてあげる義理がねェだけ。メルメルが減る。
    スマホチェックは毎晩行っていたから今日に至るまで随分と待たされた。本当は連絡していることすら今すぐそいつを八つ裂きにしてやりたいほどに嫌だったのだが、すぐにはバラさずにボロを出すまで待っていた。
    案の定この男は下心を丸出しにし、メルメルはそれを知ってか知らずか乗ってしまった。
    なァそれは浮気だよなァ? メルメルには俺っちが居るのにまだ足りねェの? 何が足りねェ? 何が不満? 俺っちはこんなにメルメルを想っているのに、なァ。
    「メルメルは俺っちのことが好きなんだよなァ。愛してるんだよなァ」
    「そう……なのです……」
    「なのにメルメルは俺っちを差し置いて他の男と二人で出かけるんだ。デートっしょ。疑いようもねェ。なァ。俺っちがいるのに他人とデートするの? マジかよ。それはメルメルが悪いっしょ。ひっでェなァ。俺っちはこーんなにもメルメルのことが大好きなのに、メルメルは裏切るンだァ」
    「燐音……許して……」
    「じゃあもう俺っち以外と連絡取らないようにしてくれるかァ?」
    「え……」
    「メルメルには俺っちがいるから他のやつなンかいらねェっしょ」
    「それは……」
    「メルメルの愛ってそれっぽっちなの? それくらいの軽い気持ちなンだ? メルメルの好きって薄っぺらなンだ。……期待して損したわ」
    「取らない、取らないから、燐音だけだから……。だから許して……」
    俺っちに抱きつきながら手を出したことを譫言のように謝るメルメルを優しく撫でる。
    さっきまで殴られて首を絞められたけど、嬉しかった、なんてそんな自分を燐音くんドMかよ? ってふざけて茶化して笑ってしまいたい。
    なんだか無性に笑えてくる。
    どうにか足掻いて、俺っちに縋り付くメルメル。大体クールなメルメルが俺っちに捨てられたくなくてなりふり構わず縋り付く姿にはまた何かゾクゾクとした悦びが背筋に走る。パチンコを手慰みに打つよりも、何百倍の快楽物質が出る。もはや麻薬すらも超える。
    俺っちがメルメルのことを必要としているのだから、メルメルも俺と同じだけ求めるべきっしょ。それが『結婚』ってやつじゃねェ?
    なンてまだ結婚はしてねェんだけど。お互い相思相愛? ってやつだし、あながち間違っていないだろう。
    確かに俺は仄暗い欲望が脳内にじんわりと溶けているのを感じていた。
    掌で転がした賽の目は6、6、6の大当たり。ロイヤルストレートフラッシュだって目じゃない。大勝ちした時にも勝る圧倒的な快楽。
    足りない、足りない、そんな愛を俺っちはメルメルに惜しみなく注ぐ。俺っちがいるのだから他のものなど必要ない。
    だから、メルメル。二人でいつまでも末長く暮らそうな。未来永劫、末代までずっと、ずっと一緒にいよう。
    俺っちがメルメルの子を成したら、もうその時はこんな世界からおさらばして、さっさと安全なところに閉じ込めてやるからな。天城の血の性質上、どうしてもメルメルに似た子供は望めねェのは残念だけど、でも半分は混じってんだ。ああ、早く妊娠してェ。
    幸せなんて俺っちにはわからないけど、ずっと一緒にいられるってなったら、都会にうじゃうじゃいる邪魔者が消えたら、嬉しいことには変わりがない。
    メルメルは俺っちが子を成せることを知らないから騙し討ちみたいになっちまうけど。
    でも、絶対、喜んでくれるよな♡
    喜ばないわけないっしょ。だってメルメルが俺っちのナカにたっぷり注ぎ込んだメルメルの体液の末にできるンだぜ? 俺の中にいっぱい入ってきて、受精する。結びつく。ふたりの結晶が俺っちのおなかの中に宿っている。それだけでイッちまいそうになる。あぁ、ちょっと勃っちまった。
    「メルメル、仲直り記念に仲直りセックスしよ?」
    「許してくれるのですか……ッ?」
    「それはメルメルの頑張り次第っしょ」
    俺っちを求めて、たくさん求めてよ。これ以上ないくらい俺っちに縋り付いてよ。俺っちの隣にいてよ。俺っち以外何にもいらないってわかってよ。
    俺以外何も見ないでよ。
    その心を隠すように、俺っちたちは寝室に向かっていった。
    愛などなくても生殖行動はできるとはいえ、やっぱりこう言うのは愛するもの同士でするもんっしょ?
    だって、俺っちとメルメルの間には愛しかないもんな♡



     
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works