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    ParAI_t

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    ParAI_t

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    琥珀色の魔法 / クロアス

    クロービスさんキャラスト公開記念第三騨!
    厄介な案件の追記のあまりの火力に震えつつも、厄介な案件~クロービスの失態の間のつもりです。
    今回はネタバレ少な目かもですが、まさかの公式の方が甘いとか…!
    くっそ、これだからオトメ勇者はやめらんないぜ!

    ##クロアス

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    ロードオブグローリーに出場するようになってからというものの、クロービスへの見合いの件数は日増しに増えていた。レースで国内外から注目されているせいもあり仕方のない事とはいえ、頭の痛い問題であることには変わりない。クロービスは、厄介なことだな、と零しつつ、書き慣れた断りの文句を連ねていく。ちょうど決済書類を運んで来ていたリーンハルトは、終わるのを待ちながら、一つ提案をした。

    「俺が代わりに会ってきましょうか?」
    「これ以上面倒事を起こされるのはごめんだぞ」

    リーンハルトが特定の恋人を作らないことは有名だ。そして、見合いにくるようなご令嬢方はどれもこれも高貴な育ちで、良くも悪くも純粋が過ぎている。この男と下手に引き合わせて熱を上げられたら、と考えるだけでも恐ろしい。政治的にも痴情のもつれ的にも、以前この男のせいで経験せざるを得なかった物とは比べ物にならない程の修羅場になりかねないだろう。

    「では、今度の舞踏会にも何人か出席されるようですし、いっそのことお会いになればよろしいのでは? これだけの手紙を書くのも手間でしょう?」
    「断る。接待の態度が素だと思われてはかなわぬからな」

    実際、礼儀正しく紳士的に振る舞うクロービスを気に入って、声がかかった事もあった。丁重に断りに断りを重ねたのが余計まずかったのか、相手の期待は無尽蔵に肥大してしまい。ようやく嫌々対面する事となった際に大泣きされてしまっては、流石のクロービスも立ち直るのに時間を要していた。
    クロービスは書いた手紙を封筒へと仕舞い、封蝋をして、処理済みの山へと片付ける。続いて、リーンハルトの持ってきた文書に急ぎで目を通していく。最後まで読み、やや筆致を乱したサインがなされるのを見て、リーンハルトはちょっとした思いつきを口にする。

    「ああそれとも、心に決めた人が?」

    イリュミナシア全土を舞台とするレースである以上、スレイヤーの活躍は多くの人の目に触れている。そうなると必然的に、クロービスの頭を悩ませるのは、サシャから流れてくる案件だけではなくなっているはずだ。中にはクロービスの棘のある言葉と険しい表情に耐えきれる相手がいてもおかしくはない。それなら、リーンハルト個人としては共感し得ないが、この気難しい男の信条を正しく理解する相手が現れるなんて奇跡もあり得るのだろう。
    そんな何の気なしの発言は、しばし回答に時間がかかった。

    「……冗談も大概にしたまえ。ほら、これを持ってとっとと仕事に戻れ。私は忙しいのだからな」

    クロービスは犬でも追いやるかのように、しっしとリーンハルトへ退室を催促する。眉間のシワが深いのはいつものことながら、若干の焦りを感じ、リーンハルトは首を傾げた。今急ぎの案件はなかったはずだし、今日は一日中、書類の山との格闘のはずだ。ラクリモッサのサミットで仕事が増えているとは言え、開催前より状況は落ち着いている。ひっかかるものを感じつつも、要望通り執務室を後にしようと扉の前に立つと、目の前でノックの音が鳴った。

    「クロービスさん、失礼します!」
    「おや、姫。こんなところで奇遇だね」
    「あっ、リーンハルトさん! こんにちは!」

    息を弾ませたアステルは、真新しい紙袋を抱え、なにか嬉しい事があったかのようににこにこと笑っている。今日も姫は可愛らしいね、と挨拶を続けようとして、リーンハルトは刺すような視線を背後から感じた。振り返れば、クロービスが射抜くような目で不機嫌を放っている。先程からの違和感の正体に一定の回答を得たリーンハルトは、やれやれと苦笑してこの場は退散してやることにした。

    「クロービス殿、姫に職務以上の干渉はしてはいけませんよ?」

    去り際に心ばかりの釘を刺し、リーンハルトは部屋から颯爽と出て行った。残されたアステルはきょとんとした表情で、クロービスへと問いかける。

    「もしかして、お邪魔でしたか?」
    「いや、既に用件は終わっている。それで、今日はなんだ?」
    「これを届けに来ました」

    とんっ、と差し出された紙袋は、前にクロービスがアステルを連れていった店の物だ。中には缶入りの紅茶と、「お疲れ様です。休憩の時にどうぞ」と書かれたメッセージカードが添えられている。

    「…何のつもりかね」
    「先日ご迷惑をおかけしましたし、そのお詫びです。ここのところ忙しくて、あのお店にも行けてなさそうだったので」

    香りもすごく素敵なんですよ、とアステルは声を弾ませる。それを見たクロービスの瞳は、穏やかな色を宿していた。

    「…そうか。では、これで茶を淹れてきてくれたまえ。休憩にするとしよう」
    「はいっ」

    アステルは、練習の成果を見てくださいね、と張り切りながら準備を進めていく。クロービスは、そのひたむきで純粋な姿に僅かに目を細める。
    いつからか、休憩を取る際にはアステルがいることが当たり前になっていた。旅の終わりにこの光景を失う事はどうにも口惜しい。だが、それこそ越権行為というものだろうし、そんないずれ訪れる未来を悲観する暇があるなら、この時を少しでも正確に記憶すべきだろう。そう決めて、クロービスは目の前の書類へと向き直ると、時間の猶予を増やす事へ邁進する。

    日常へと組み込まれつつある、束の間の穏やかな時間。
    それが今、始まろうとしていた。
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    Replies from the creator

    ParAI_t

    MOURNING11月のカレンダー没案です。
    クリスタニア編でリーン様が不穏なこと言ってた印象が濃い辺りの頃に書いたので、今思うと「とにかく無事に終われ!?」みたいなノリをひしひしと感じる←
    アプリ版だと第一部のラクリモッサでしばらく三柱でお茶会してないみたいな話があったので、こんな風な日常に戻ってたらいいよねぇみたいな願いを込めてます。
    いやぁ、今週のクリスタニア編も楽しみですね☺️
    11月カレンダー没案(サシャ・リーンハルト) ほう、とついた息が白く漂う。もうそんな
    季節になったんですねー、としみじみとして
    サシャは陶器の音をテーブルに響かせた。
     本日の茶会は鮮やかに色付いた秋を
    鑑賞しようと屋外で行うことになっている。
    外気での冷却も計算に入れてあるから、
    ティーポットの中身はそろそろ飲みごろに
    なるはずだ。あとは二人を待つだけですね、
    と視線を上げれば、はらりと赤や黄が高い
    空に散っていた。かつての戦いと同じ季節が
    これほどまでに穏やかに過ごせているのだ、
    とサシャはゆるりと目を細める。
    「おや、あいつはまだ書類と格闘中かな」
    「年の変わり目も近いですからねー。魔道
    交信ではもうすぐ来ると言ってましたがー」
     そうしてさらりと金の髪を揺らす赤い鎧も、
    358

    ParAI_t

    DONEドロライ参加作品です。お題は「いい夫婦の日」。
    モブ秘書がクロアス夫婦+子供を観察してる謎の話になります。需要は私にある(澄んだ瞳)
    キャラスト3話で父さん母さん呼びしてたのに、なんか今は父上母上呼びしてるから、つまり結婚後はこんなんじゃない?みたいなノリで書きました。
    いずれ職場で「パパは〜」とか言っちゃう話も書きたい。結婚後でなくても天惺獣関係ならスレイヤー全員やらかせる余地はあるしな…!←
    困惑メラビアン−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−































     どうも直属の上司は厳しい人柄、らしい。風の噂でそんな評判を聞きつけて、グランロット王国宮廷魔道士長、クロービス・ノア付となった新任秘書は、緊張に身を固くして部屋の扉を叩いていた。出迎えた予想と違わぬ鋭い眼光に気圧されつつも、準備をしていた甲斐もあり用件は滞りなく進んでいく。
     魔王との長きにわたる戦いを終えたグランスレイヤーともなればこの威厳も当然か。多方面に渡る業務内容を迅速かつ正確無比にこなしていく姿に、秘書は自分なりに答えを得て、一礼し退出しようとする。そうして顔を上げた刹那、廊下からかすかに幼子の声が聞こえてきた。
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    ParAI_t

    DONE※いつも以上に原作の行間にクロアスをねじ込んでいます
    ※※特に本筋ではないのですが、若干ガレル・パレル編のネタバレを含みます

    オトメ勇者初恋Webアンソロジー寄稿作品になります
    ほぼほぼ謎の青年C(AとBがないのが作為的とか言わない)が活躍しているクロアス(?)な雰囲気ですが、お楽しみいただければ幸いです
    今週のクリスタニア編と矛盾しないといいなあ…(直し入るとめんどいなという顔)
    キャンディタフトは甘やかに揺れる / クロアス----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
















     その名の通りに飴で出来ているかのように、小さな白い花は甘く香っていた。

    「クロービスさん。頼まれてたもの持ってきましたけど、どこに置いておきますか?」
    「ああ、机に空きがあるだろう。そこに頼む」
    「はーい」

     年代物の深緑の図鑑から目を上げ指示を出したクロービスは、すぐに意識を机に戻すとリストへチェックを入れる。本日この時間のクロービスの業務は、実験室での魔法薬の調合だった。王城に併設された植物園から運んできた花の色と香りに、何かを思い出したアステルはなんの気なしに口にする。
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    ParAI_t

    DONE※オトメ勇者最新話(第57話)ネタバレ
    お題は「神無月」です
    今週もまたすごい展開でしたねえ
    推しの心情深掘り第2弾ということで、今週の展開を踏まえた今回もまるで先行きが明るくはないお話です
    毎週のお題に合わせて可能な限り続けていきたいけど、多分そのうち矛盾すると思う(確信)
    書いてて思ったけど、メインストがトゥルー爆走してるなあと思うと同時に箸休め回をくれ…!
    イチャコラさせる暇がないんだよなあ
    裁きの光は虚ろにて / クロアス----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------



















     勇者は、死んだ。エルドアの淡々とした発言を聞いたクロービスは、しばし呆然と立ち尽くしていた。六天魔という異常事態を片付けねばならない、と理性が警告を発しているものの、目の前の光景はとうに現実味を感じられなくなっている。
     いつかの悪夢のように魔物に命を狙われたとしても、守ってやれるはずだった。それがこの現状はどうだろう。女神の声を聴く者は、これほどに呆気なく希望の光を握りつぶし平然としている。傷つき悩み、憂い惑い、それでも譲れないもののために何度でも立ち上がって剣を振るっていた少女を切り捨てる事が、この聖なる地の正義だった。
    1108

    recommended works

    ParAI_t

    DONE予期せぬエラーが発生しました / クロアス

    みみみさんのツイートを思い出し笑いしてたら、興が乗ってしまったので書きました
    予定では前者を採用するはずだったのにおかしいな…?🤔
    いつも以上にやらかしているクロービスさんをお楽しみください←
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    書庫の貸し出しカウンターの奥にある、司書室の休憩スペースにて。平素はグランロットの死神と恐れられる黒魔道士が、生気を失いテーブルに突っ伏していた。

    「いっそ殺してくれ……」

    クロービスとは長いつき合いになるがこんな顔は初めて見るかもしれない、とサシャとリーンハルトは苦笑する。
    先日レースで出くわした魔物からアステルをかばった際に、クロービスは一時的に記憶をなくしていた。現在は記憶を取り戻したものの、喪失中に恋人へ酷い態度をとった事が忘れられないらしい。顔を合わせるのが気まずいためか、ここ連日アステルから逃げ回っている。

    「魔物の影響ですし、彼女も気にしないといってましたよー?」
    「だからといって許されることではないだろう……!」
    「そもそも普段から、落差を感じられるほど優しくもしていないでしょうに」
    「……うるさい」

    キッと睨み付けるクロービスに、彼女から聞いた話が元なんですが、という言葉をリーンハルト 2801