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    ParAI_t

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    melty rule / クロアス

    バレンタインデーがあるなら当然ホワイトデーもあるよなァ!?ってノリで書いた、スケブ三次創作の「とろけるような」の続編というかアンサーみたいなもの。
    なんか前回のかっこいいビス殿が消えてしまったような気がするけど、まぁ溶けてるから仕方ないよね←

    ##クロアス

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    レースを終えたアステルは本日の報告書を提出するために、クロービスの執務室を訪れていた。

    「わぁ、こんなにいただいていいんですか?」
    「三倍にするものらしいのでね」
    「ふふっ、実は全部気になってたので、すごく嬉しいです!」

    渡された袋の中身は説明するまでもなかった。バレンタインにアステルが一つを決めるのに時間を要した店のチョコレートの詰め合わせだ。想定通りの反応を得て、クロービスは満足げに口元を緩める。

    「開けてもいいですか……?」
    「少しは堪え性というものを身に付けたまえ」
    「ダメですか?」
    「……君にやったものだ。好きにすればいいだろう」

    弱さを自覚している瞳が無邪気に向けられて、クロービスは早々に抵抗を放棄した。購入時に「過剰に甘やかしていないか」、午後の始業時に「渡す時間が早いのではないか」と問いかけた自分は実に正しかったと実感する。ただ、アステルが止められぬ事が十分に予測可能でも、渡さぬままでは業務効率に支障がありそうなのもまた事実だった。
    アステルが箱を開けると、そこには色も形も様々なチョコレートが鎮座していた。同じ種類の物が複数個あり、点々と模様を描くように並べられている。アステルは迷いなく、クロービスへと贈った物と同じものを口へと運んだ。広がる甘さと香りに顔をほころばせていると、はたと何かに気付いたのか、表情を硬くなる。

    「あの、今晩は早めに寝に来てくださいね。……私もお返しをしたいので」
    「お返し?」
    「バレンタインデーに、その、私、色々ともらってしまいましたから」

    記憶を辿りクロービスは合点がいく。どうやら、あの日に口付けたことを指しているらしい。口にすることで当時の感触を思い出したのか、アステルみるみるうちに茹で上がっていた。小声でああだとかううだとか動揺を零し俯く初々しい姿に、クロービスはかける言葉が見あたらない。そうしているうちに、アステルは目に入った縋る藁へと飛び付いた。

    「ええと、この書類! 出してきます!」

    返事を待つ空気に耐えきれなかったアステルは、大臣へ提出する物を抱えて小走りに執務室を後にする。騒々しさに呆気にとられ「走るな」という小言すら発せられる暇はなかった。発言を反芻し状況を整理すると、今夜起きる事へのとりとめもない予測が積み上がり、クロービスは悩ましげな溜息をつく。
    それでは数が合わないだろう、とようやく絞り出せた声はアステルのいなくなった空間に反響した。
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    ParAI_t

    MOURNING11月のカレンダー没案です。
    クリスタニア編でリーン様が不穏なこと言ってた印象が濃い辺りの頃に書いたので、今思うと「とにかく無事に終われ!?」みたいなノリをひしひしと感じる←
    アプリ版だと第一部のラクリモッサでしばらく三柱でお茶会してないみたいな話があったので、こんな風な日常に戻ってたらいいよねぇみたいな願いを込めてます。
    いやぁ、今週のクリスタニア編も楽しみですね☺️
    11月カレンダー没案(サシャ・リーンハルト) ほう、とついた息が白く漂う。もうそんな
    季節になったんですねー、としみじみとして
    サシャは陶器の音をテーブルに響かせた。
     本日の茶会は鮮やかに色付いた秋を
    鑑賞しようと屋外で行うことになっている。
    外気での冷却も計算に入れてあるから、
    ティーポットの中身はそろそろ飲みごろに
    なるはずだ。あとは二人を待つだけですね、
    と視線を上げれば、はらりと赤や黄が高い
    空に散っていた。かつての戦いと同じ季節が
    これほどまでに穏やかに過ごせているのだ、
    とサシャはゆるりと目を細める。
    「おや、あいつはまだ書類と格闘中かな」
    「年の変わり目も近いですからねー。魔道
    交信ではもうすぐ来ると言ってましたがー」
     そうしてさらりと金の髪を揺らす赤い鎧も、
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    ParAI_t

    DONEドロライ参加作品です。お題は「いい夫婦の日」。
    モブ秘書がクロアス夫婦+子供を観察してる謎の話になります。需要は私にある(澄んだ瞳)
    キャラスト3話で父さん母さん呼びしてたのに、なんか今は父上母上呼びしてるから、つまり結婚後はこんなんじゃない?みたいなノリで書きました。
    いずれ職場で「パパは〜」とか言っちゃう話も書きたい。結婚後でなくても天惺獣関係ならスレイヤー全員やらかせる余地はあるしな…!←
    困惑メラビアン−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−































     どうも直属の上司は厳しい人柄、らしい。風の噂でそんな評判を聞きつけて、グランロット王国宮廷魔道士長、クロービス・ノア付となった新任秘書は、緊張に身を固くして部屋の扉を叩いていた。出迎えた予想と違わぬ鋭い眼光に気圧されつつも、準備をしていた甲斐もあり用件は滞りなく進んでいく。
     魔王との長きにわたる戦いを終えたグランスレイヤーともなればこの威厳も当然か。多方面に渡る業務内容を迅速かつ正確無比にこなしていく姿に、秘書は自分なりに答えを得て、一礼し退出しようとする。そうして顔を上げた刹那、廊下からかすかに幼子の声が聞こえてきた。
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    ParAI_t

    DONE※いつも以上に原作の行間にクロアスをねじ込んでいます
    ※※特に本筋ではないのですが、若干ガレル・パレル編のネタバレを含みます

    オトメ勇者初恋Webアンソロジー寄稿作品になります
    ほぼほぼ謎の青年C(AとBがないのが作為的とか言わない)が活躍しているクロアス(?)な雰囲気ですが、お楽しみいただければ幸いです
    今週のクリスタニア編と矛盾しないといいなあ…(直し入るとめんどいなという顔)
    キャンディタフトは甘やかに揺れる / クロアス----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
















     その名の通りに飴で出来ているかのように、小さな白い花は甘く香っていた。

    「クロービスさん。頼まれてたもの持ってきましたけど、どこに置いておきますか?」
    「ああ、机に空きがあるだろう。そこに頼む」
    「はーい」

     年代物の深緑の図鑑から目を上げ指示を出したクロービスは、すぐに意識を机に戻すとリストへチェックを入れる。本日この時間のクロービスの業務は、実験室での魔法薬の調合だった。王城に併設された植物園から運んできた花の色と香りに、何かを思い出したアステルはなんの気なしに口にする。
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    ParAI_t

    DONE※オトメ勇者最新話(第57話)ネタバレ
    お題は「神無月」です
    今週もまたすごい展開でしたねえ
    推しの心情深掘り第2弾ということで、今週の展開を踏まえた今回もまるで先行きが明るくはないお話です
    毎週のお題に合わせて可能な限り続けていきたいけど、多分そのうち矛盾すると思う(確信)
    書いてて思ったけど、メインストがトゥルー爆走してるなあと思うと同時に箸休め回をくれ…!
    イチャコラさせる暇がないんだよなあ
    裁きの光は虚ろにて / クロアス----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------



















     勇者は、死んだ。エルドアの淡々とした発言を聞いたクロービスは、しばし呆然と立ち尽くしていた。六天魔という異常事態を片付けねばならない、と理性が警告を発しているものの、目の前の光景はとうに現実味を感じられなくなっている。
     いつかの悪夢のように魔物に命を狙われたとしても、守ってやれるはずだった。それがこの現状はどうだろう。女神の声を聴く者は、これほどに呆気なく希望の光を握りつぶし平然としている。傷つき悩み、憂い惑い、それでも譲れないもののために何度でも立ち上がって剣を振るっていた少女を切り捨てる事が、この聖なる地の正義だった。
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