『四十五秒以内の逢瀬』遠目に居たユリアの銀輪が飾る空色と甘い華のような赤色の瞳と
サヴァンの深紅の瞳の視線が絡み合う
ゆるりとその瞳に自分にしか見せない嬉色が浮かび小さな口唇が言葉を象っていき
甘やかで祈るような声が鮮やかに再生されサヴァンの耳をくすぐり。
その声にゆるりと口元が自然と弧を描いていく
『四十五秒以内の逢瀬』
「”何でも屋”、機嫌がいいな?」
「あぁ?あんたがそう思うならそうなんだろうな。」
話しかけられ視線をの主 案内人に移すが気づかれないよう
ちらりとまたその姿をと見る。背中を向け見知った後ろ姿と共に並んで歩いて遠ざかるのを見送る。
それにやや機嫌が落ちるが
自分だけに見せる甘やかな視線を思い出しゆるりと弧を描く口元を手で覆い隠す。
早く終わらせて帰るか
そう言葉に出さずに案内人の後についていく
ゆるりと空は赤く染まり逢魔が時へと向かっていった
<了>