創作BLワンライお題【クリスマス】【聖なる夜】 まだどこか垢抜けない繁華街。忘年会にクリスマス、デートや家族サービスを、誰かのために、誰もが楽しもうとしている。金曜でもないというのに、通るだけでむせ返るような幸福や疲労に酔いそうな、異常なまでの賑わいに溢れている。これでは、せっかくのイルミネーションの美しさで鬱になる者も現れてしまう。
「もうやだ仕事したくねぇ。リア充ばくはつしちまえ」
例えば、特徴が無いのが特徴の声の持ち主が恨み言を吐くとか。
「お前はリア充してるとこだろうが。俺と仕事すんの嬉しいんだろ」
その隣にいる年上の抱かれる側の恋人が、笑っているものの目はちょっと怒っているとか。
季節ごとのイベントには、スイーツと同じくらいには警察官がお馴染みの存在でなければならない。という訳で、五十嵐巡査部長と近江巡査部長は、今夜は私服のまま警備にあたっていた。この二人組、一見するとただの二十代半ばのありふれた青年である。
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