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    キユ(空気な草)

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    POIPOI 17

    先日呟いたじーてぃー🅿️さんが死ぬ瞬間を夢で見た🍚くん(25歳)【P飯】
    視点がころころ変わるのでとても読み辛い。

    #P飯
    #腐向け
    Rot

     夢を見た。とても悲しく辛い夢。大好きでたまらないあの人がいなくなってしまう夢。僕はいつもの僕とは違う姿をしていたから夢だとわかっている。だけど、その夢はとってもリアルな夢。
     あの人はドラゴンボールと共に消えていくと別れの挨拶をしてきた。
    「元気でな、悟飯ーー!!」
     やめて、やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて!!!!
    「ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
     夢はそこでおしまい。目が覚めたら見慣れた天井見慣れた部屋。頭の中で何度も夢が反芻される。そんなもの見たくないのに映像が何度も何度も頭の中をぐるぐるしてる。
    「はっ……はっ……!ピッコロさん……!」
     どんどん目の前が真っ赤に染まっていく。駄目だ、いけない、出てきちゃ駄目。今それになったらきっと僕は自分が抑えきれなくなる。
    「ピッコロさん……!ピッコロさんピッコロさんピッコロさん……!!」
     悲しいです苦しいです辛いです怖いですどうしよう止まらないですごめんなさい。
     見える世界が完全な赤に染まる。僕の思考は一つのことしか考えられなくなっていく。
    「ピッコロさん……!!!!」
     ピッコロさんに会いたい。

     珍しく、ベッドで横になっていた。ただなんとなくいつもより身体が疲れている気がしたから。横になり明日は何をしようかと頭の中であらゆるパターンをイメージしていく。明日は珍しく何も用事がなかった。パンは今朝からビーデルとサタンの元へ。悟飯は仕事。久しぶりにひたすら修行に浸るのも悪くない。どんな修行をしようか。瞑想だけではなくもっと身体を動かしに何処かへ行こうか。
     ある程度の考えが纏まった時、それに気づいた。悟飯の気の乱れ。尋常でない程に強大に膨れ、乱れている。
    「!!」
     膨れ上がった肌に刺さるような気には覚えがある。最近手に入れた新たな姿、ビースト。今その姿になるほどの何かが悟飯に起こったのだ。
     すぐに起き上がり悟飯の元へと思ったがその必要はなかった。物凄い勢いでこちらへと向かっているらしく、その気配はもう直ぐそこだった。悟飯がオレの元へと来れる位には無事であることはわかった。でも少しだけ不思議に思った。
     悟飯は本当に辛いときに限って助けを呼ばない。普段はそんなことでオレに泣きつくなと叱りたくなる位にはくだらないことで助けを呼ぶのに肝心なときには口を閉ざす。何度言い聞かせてもそれは変わらないあいつの悪い癖。
     ビーストにならなければならない程の事態ならあいつがオレに助けを求めることはなさそうなのに、まぁ求めなくてもオレの方から行くのだが。兎に角いつもと違う展開にほんの数秒その場に留まってしまった。そしてその数秒の間に悟飯が家の扉の前に降り立った気配がした。

     ピッコロさんに会いたい。そう思って来た筈なのに、ピッコロさんが居なかったらどうしようと考えてしまったら、身体がその先へ進めなくなってしまった。
    「はっ……はっ……」
     動いてよ僕の足。家の中に入ればきっとピッコロさんが「こんな時間にどうした?」て出迎えてくれる。だからお願い動いて、動いてください、動け!!
    「ぴ…………ぴ、コ…………さん」
     身体が動かないなら呼べばいいと思った。だけど喉も役に立たない。喉が見えない何かに締め付けられているみたいだ。ピッコロさんピッコロさんどうしよう僕ぽんこつになってしまいました。
     ピッコロさんピッコロさん僕ここにいます。出てきてください。会いたいです。ごめんなさい会いに来たのに怖くてこの先に進めないんです。
     ピッコロさんピッコロさんごめんなさい。何度も貴方に口にしろと言われた、たった4文字の言葉を口に出すことも出来ないんです。
    「ピッ…………ろさ…………!」
    「悟飯!?」
     あぁ、大好きな声が聞こえる。

     家の前に降り立った気配はした。だがそこから悟飯は動こうとしなかった。何故か家の前で突っ立っている。やはり何かがおかしい。
    「ぴ…………ぴ、コ…………さん」
     声が聞こえた。聞き間違えるはずがない、悟飯の声だ。か細い声だったがオレを呼ぶ声だった。
    「ピッ…………ろさ…………!」
     寝室になんているんじゃなかった。一階にいれば、直ぐにあいつの声に応じてやれただろう。そんな悲痛な声を出させることはなかっただろう。   
     数段しかない階段がこれ程憎たらしいと思った事はない。舌打ちしながら駆け下りて何度も呼びかけてくる悟飯に姿を見せた。
    「悟飯!?」
     予想通り、そこにいたのはビーストの姿となった悟飯だった。かつての闘いの時とは違い服はいつもの格好だが、本来黒いはずの髪の毛は銀の輝きを放ち逆だっている。汗一つかかずに闘いに勝利した男が今は大量の汗をかいて息を荒らげている。
    「悟飯、お前……」
     そして、ビーストの特徴である二つの赤い瞳から沢山の涙をぼろぼろと落とし、大きな目をさらに見開きながらこちらをじっと見つめていた。
    「ぐっ……!?」
     何があった? そう聞きたかった。でもそれは勢いよく抱きついてきた悟飯によって遮られてしまった。勢いを殺せずに床に背中から倒れてしまう。
    「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!あああぁぁぁぁぁああぁぁぁぁん!!!!」
     ここしばらく見ることなど無かった程の大泣きだ。顔を押し付けられている胸元が涙でどんどん湿っていく。
    「悟飯…!落ち着け何があった!?ぐ……!」
     落ち着かせようと声をかけると抱きしめてくる力が強まった。こうしている間も悟飯の泣き声は止まらない。
     悪いと思いつつ悟飯の中を覗いてみた。そこは今まで見たことがない位に荒れている。現実世界の悟飯と同様沢山の雨が降りまるで悟飯の中で台風が暴れているようだった。わかったのはそれだけ。ただ悟飯がとても悲しんでいることしかわからなかった、そんなことは現実のこいつを見ればわかる役に立たない能力が!!
    「悟飯、悟飯。何があった?」
     返答はない、ただやはり声をかけると締め付けてくる力が増していく。
    「すまない、オレにはお前が何に悲しんでいるのかわからない」
     締め付けがどんどん強くなっていき身体中がギシギシと悲鳴をあげている。正直とても辛いがそれ以上に。
    「頼む、教えてくれ。オレはどうしたらいい?」
     悟飯が泣き叫んでいる姿を見ることの方が何百倍も辛かった。
    「悟飯……!」
     結局オレに出来ることと言えば抱きしめ、頭を撫でてやるくらいしかなかった。そんな自分に心底腹が立つが、今はそんなことに意識を向けるのではなく今もなお泣き続けている悟飯だ。頼む、どうか泣き止んでくれ。
    「……いつものお前の笑った顔が見たい」
     オレの小さな呟きは悲痛な泣き声で掻き消えていった。

     どれだけ経っただろうか。この家には時計がないから詳しくはわからないが、長い間悟飯は泣き続けていた。
    「すぅ…………すぅ…………」
     泣き疲れたのだろう、先程ビースト化が解けそのまま悟飯は眠りに落ちた。目元が大分赤い、目覚めた頃には腫れてしまっているかもしれない。ビーストだった間は気で熱を帯びていた身体はどんどん冷えてしまっている。そんな身体を少しでも温めてやりたくて能力でマントを生み出し悟飯の上に掛けてやる。
     意識を失ったことで腕の力は大分弱くなったがそこから抜け出すことは出来なかった。そんなことをしたら、目が覚めたときに抱きしめていたオレがいないことを知ればきっとこいつはまた泣いてしまうと思ったから。
     目を閉じて、オレの名前を呼んでいた姿を思い出す。どうするのが正解だったのだろうか。オレのした行動はこいつを少しでも救えただろうか。もっと他にいい方法があったのではないか。
    「くしゅんっ……」
     あぁ、すまない。玄関前だからマントだけだとやはり冷えてしまうか……。やはり寝室に運ぶべきだろうか。しかし起こしたくはない。
    「今だけでも、人肌というものが欲しいな……」
     ただでさえオレの体温は大して高くないのに更に加えて今は冷たい床に寝そべっている。あまり意味はないかもしれないが抱きしめていた腕を強くした。身体の密着を増やすことで少しでも温まってくれればいい。
     明日落ち着いたら温かい風呂にでも入れてやろう。他にもやりたいことは山のようにある。外に視線を送ると空が少し明るくなってきているのが見えた。もうじき朝が来る。悟飯が目覚めるまで少しの間オレも眠ることにした。

     夢を見た。とても悲しく辛い夢。あぁまたこの夢かと涙が溢れてくる。こんなもの見たくないのになぜこんな夢みてしまうのだろう。早く目覚めてしまいたい。どうすれば僕は起きてくれるかな。
    「あ、そうか、今の僕が死ねば夢の世界は終わるかな」
     やるなら速攻痛みなく。首から上を吹き飛ばしてしまえば頑丈な僕でも即死だろうと右手に気を集中させていると手首を大きな緑色の手がガシリと掴んできた。
    「帰るぞ」
     おかしいな、ピッコロさんはあっちで知らない僕と話をしているのに。僕のところにもピッコロさんがいる。ぽかんとしている僕なんかお構いなしにもう一人のピッコロさんはぐいぐい僕の手を引っ張って何処かへと歩いていく。
    「ピッコロさん?どこ行くんですか?」
     僕この夢の世界から早く出ていきたいんですけど。寄り道は出来ればしたくないです。嫌そうにしている僕の顔を見てピッコロさんは笑いながら応えてくれた。
    「帰ると言っただろうが。早く起きていつものお前を見せろ」

     はっと目を開く。さっきまでとは違う光景が目の前に広がっている。
    「おはよう、悟飯」
     ピッコロさんの顔が目の前にある。とても近い。あ、僕夢から覚めたんだ。でもなんで目が覚めたらまたピッコロさん?ちょっと考えていたら思い出してきた。そうだ、最初に夢を見たあと怖くて堪らなくてピッコロさんの所に突撃したんだ。
    「悟飯、おはよう」
    「……お"は"よ"う"こ"さ"い"ま"す"」
     何故かおはようと二回言ってきたピッコロさん。挨拶を返さねばと声を出したけれどすごい声が出た。え、これ僕の声?ガラガラすぎてもはや別人なんだけど。
     それでも僕のおはようを聞いたピッコロさんは嬉しそうに笑ってくれたからいいや。おはようございますピッコロさん。……起こしてくれてありがとう。

     カッ!と悟飯の目が開いた。やはり目は相当腫れて酷いものだ。そんな目でこちらをじっと見つめてくる。
    「おはよう、悟飯」
     あまり言い慣れない挨拶をしたのだがキョトンとした表情のまま返事が返ってこない。
    「悟飯、おはよう」
    「……お"は"よ"う"こ"さ"い"ま"す"」
     もう一度挨拶をすると返事が返ってきたが声も酷い有様だ。あれだけ喉を酷使したのだから当然の結果ではあるのだがとても痛々しい。
     けれども返事をした悟飯は昨夜の悟飯と違い大分落ち着きを取り戻している。今はその事を喜ぶことにしよう。
    (……起こしてくれてありがとう)
     無意識に覗いた悟飯の思考がオレの頭に届いたのだが起こした覚えはない。大したことも出来ずにただ傍にいただけだ。礼など言われるような事じゃない。
    「起きるぞ」
     緩んだ腕の中から抜け出して起き上がると、そのまま悟飯の身体を抱き上げ家を出る。まずは水を飲ませてその後目を洗ってやって……足もだな、今気づいたがこいつ裸足で来てたのか……。
    「腕を回しておけ」
     完全に落ち着くまで抱きついていろという気持ちを込めて伝えた言葉。しっかり伝わったようで遠慮がちに二本の腕がオレの首に回された。水辺までの僅かな距離を歩いていると耳元で小さく悟飯の声が聞こえてくる。
    「……な"に"も、"き"か"な"い"ん"て"す"か"?」
    「無理には聞かん。お前が言えるようになったらいつか教えてくれ」
     昨夜はすぐにでも知りたいと思ったが、元の……ボロボロではあるが、いつものお前が見れたからそれで良い。それともう一つ、眠りに落ちる直前に気づいた別の収穫があるからそれだけで十分過ぎるものを得た気分だった。
    「悟飯」
    「?」
    「『たすけて』はまだ言えていないが真っ先にオレのところに来たのは良い進歩だ」

     悪い癖を少しだけ改善出来た愛し子を今日はめいっぱい褒めて甘やかしてやろうと思う。

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