夢の続き「檀、お腹空いた」
被監禁者である太宰からの要求に「分かった」と一言答えた監禁者である檀は部屋を出る準備をする。
「魚が食べたい」
「ああ」
太宰が暫く本を読んでいる内に、湯気のたつ料理を二人分持った檀が帰ってくる。檀と太宰は仲良く同じ机で食事を取る。
「万年筆のインクが切れそう」
「分かった。持ってくるよ」
スパイスの効いたバター焼きを食べている太宰が不意に口火を切った。
「なあ、そろそろ戻った方が良いんじゃないか?」
一瞬、檀の動きが止まる。それを見た太宰が口元を緩める。
(やっぱりお前に悪役は向いてないよ)
「今なら悪戯で済むさ」
黙りこくる檀に太宰は優しく声をかける。
黙り続ける檀に、太宰も黙って箸を動かす。
食べ終えた食器を持って檀が一人で部屋をでていく。
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