きみに触れる内と外なんでもない昼下がりのことだった。
インターンとして赴いている常闇とのパトロールの終了地点を、たまたま高層ビルにしていて、たまたまその日、ビルの窓拭きが行われている日だった。
パトロールが終わり、さあ事務所へ帰ろうかと腰をあげたところで「あっ」と下から声がした。下をのぞけばビルの清掃員が商売道具を落としかけている。ビルの高さは三十メートルはあるだろう。落下すれば、例え小さなものでも地面に到達するまでには相当の威力のモノになる。眼下の人通りは多い。咄嗟にホークスが手で、常闇が黒影に指示を出して、そして清掃員の男も必死になって、三つの手がその落下物へと伸ばされた。
黒、黒、肌色。三つの手が合わさった瞬間。
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