そして貴方といつまでも どこまでも晴れ渡る天に蒼穹の緞帳が広がり、暖かな光を満遍なく大地に降り注ぐ。草木の緑が輝く夏の突き刺すような日差しから徐々に色を灯した葉を包み込むような柔らかさを含んだ陽はもうしばらくすると遠ざかり、世界は白い恵みに包まれていくだろう。
綺麗に続くこの空もくすんだ色に染まれば厳しい冬の足音はもうすぐだった。
賢者の塔の最上階にほど近い上層で腰かけ、ゆるりと色を変えていく木々の代わり様を眼下に望む。広がるのはかつては豊かな森と山々だったが年月を経た今は大方が削られて散り散りとなっていた。代わりに広がるのは人の街と繋ぐ舗装された道、そして家畜の為に開けた大地。水が豊かなロザリアの大地は豊富な資源で豊かに実りを結び人を養う。かつて父エルウィンが望んだように、水車を起点として始まった大規模な水路についても発達した技術が今は隅々まで行きわたり生活に困らない供給と氾濫対策がなされている。
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