「カヅキ先輩って……ホント誰にでも優しいですよね」
そんな風に言われるのは初めてではなかった。
時に笑いながら
時に叱るように
時に困った顔で
けれどその時言われたそれは、いつもと何か違っていた。
何かはわからない、けれど
その日からそいつがここに来ることはなかった。
「アイツ、最近こないな」
「ねえカヅキ。誰にでも優しいのは誰にも優しくないのと同じにゃ」
「何だ急に」
「何でもないにゃ〜」
突然アレクにキスされるカヅキ。しばらくポカンとした後、ちょいちょいと頭を下げさせると拳でコツンと叩く。
「コラッこういうのは嫌がらせでやっちゃ駄目だろ!」
めっ、と叱るカヅキ
「……あ"ぁ!?」
「?」
「んで嫌がらせになるんだ!!」
「違うのか?」
「全然ちげぇよ!だから……あああっっっ」
ぐいっと胸ぐらを掴み、
「ーー好きだ」
好きだ
その言葉が脳に届いた瞬間バタンキューするカヅキ
「おい!仁科カヅキ!?」
目を覚ますとアレク
「ば……」
「ば?」
「バーニン!!」
走り去ろうとするが腕を掴まれる
「おいっ返事はどうなんだ!?」
(返事……何の?)
好きだ
(好き……コイツが俺を?)
違う 好きだ
俺が コイツを
気付いた途端に涙が溢れた
「なに、泣いて……」
ぐいっと涙を拭うカヅキ
「返事は、待ってくれ。先にしなくちゃならない奴らがいる」
………………………………
「お前らの告白から散々逃げてすまなかった。今は考えられないって言ったけど、俺……好きなヤツが出来た。だから……ゴメン」
「誤ったりしないでください」
「俺のこと好きになってくれて嬉しかったぜ。サンキューな」
泣き笑い
これからもーーそれはきっと言ってはいけない
恋愛事が苦手なのは本当だけどきっとそれだけが逃げていた理由じゃない。
変わるのが、終わるのが嫌だった。
今まで通りの仲間でいられなくなるのが
「心配しなくてもこれからも可愛い後輩にゃ」
「だから行って下さい。これからするつもりなんでしょう?告白」
「大和!俺はお前が好きだ、だからええと……バトルだ!!」
「受けて立つぜ仁科カヅキぃ!!!」