「……」
「……あ、気にしないでそのままどうぞ」
「いやおかしいだろ!!」
ルークの叫びが勇者の館、中庭から響いたのはまだ朝日が昇り始めたばかりの時間帯だった。
早朝というよりは夜明け前の深夜からの鍛錬を終えて井戸の側で水浴びをしていたところに、たまたま早起きしてきたらしいナツ子が洗顔用の水を汲みに井戸に来た、という状況。そういったことは、ままあることではあった。
ただ今朝に限っていうなら、ルークが下穿きを脱ごうと丁度手をかけたタイミングだったために、冒頭のやり取りに戻る。
「鍛錬で汗かいたし、頭から水も被っちゃったしで面倒だ上着も下着も一緒に洗濯しちゃおー、とかそういう流れっしょ?どーぞどーぞ、脱いでどうぞ。私は気にしないから」
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