眠れないCEO 眠れない。
そんな夜が何日続いたのか、グエルはもう覚えていない。
知らなかったこととはいえ、自ら手にかけてしまった父の後を継ぎ、グエルはジェターク社のCEOとなった。就任当初、ワンマン経営で慣らしていた会社は、その大黒柱を失ったことで倒産しかけていたが、グエルはそれを3年でどうにか建て直した。
ジェターク社はヴィムが残してくれた唯一無二の遺産だ。正直なところ、立て直しに何年かかったとしても、たとえその見通しがまるで立たなくてもグエルは諦めるつもりはなかったが、3年という月日は一旦の区切りでもあった。ここまでやってだめならきっともうなにをしてもだめだろう。そのリミットがグエルにとっては3年だった。
5299