その日は朝から変な天気だった。晴れているのに雷の音がしたり、急に曇ったり。
運び屋を連れての雑多な用事の帰り道、根城にしているラッキー38まで数分の所で、低く降りた黒い雲から突然雨が降ってきた。
参ったな、雨宿りするか、それとも走るか。そう焦る俺とは裏腹に、運び屋はきゃあきゃあとできたばかりの水たまりに飛び込んではブーツを汚していた。
「やめなさい。誰がそのブーツを洗うと思ってるんだ。さっさと帰るぞ。」
vaultスーツの膝まで泥を跳ねさせて笑う運び屋に言っても、ぷいっとそっぽを向いた後、雨粒を舐めようと空に向かって舌をぺろぺろさせるばかり。こりゃ言っても駄目だ。運び屋との付き合いの長さから察して早々に諦める。こういう時は発想の転換が大事なのだ。
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