Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    723

    @pcr_723

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 22

    723

    ☆quiet follow

    明治鯉月ちゃんいちゃいちゃ

    #鯉月
    Koito/Tsukishima

    まるで舌舐めずりするみたいに俺のうなじをなぞったその指先を、振り払う事は簡単だ。

    「払い退けないのか?」
    「さぁ?どうでしょうか」

    曖昧な言葉で誤魔化して。敷布の上で二人、夜の帳もとっくに降りた暗い部屋に、控えめな明かりが揺れて重なり合って見える二人分の影もふわり揺らめいた。いけません、とその手を払ってさっさと立ち上がれば流石に少尉も観念するだろう。上官からの誘いを無下にした所でこの人は俺には怒らない。
    では何故にすぐ実行しない?簡単なのだろう?
    自問自答する。そんな事をしている間に調子に乗った指先はくるくると蠢いて、柔らかな耳朶の感触を楽しんでいた。そこで一度、少尉の指が離れる。彼は俺に見せつけるようにその長くてしなやかな人差し指を一本口に含んだかと思えば唾液を纏わせたそれを再び俺の耳へと向けて伸ばす。それから逃げも隠れもせずに、だからといって自分から、というわけにもいかずただただ身を固くして構えていると、少尉の濡れた指はくちゅりと湿った音を耳元で響かせる。

    「逃げないのか?」

    彼は先ほどと同じように問うた。今度は俺は答えられず、着物の裾を力一杯握りしめるばかり。
    無言を是、と受け取ったのか、それともこちらの返事は待ってなどいないのか。少尉の指は優しく、けれど明確な意思を持って動き出す。耳朶をかすめ、耳殻の凹凸を楽しむように爪を立て、そして狭い耳穴へと入り込む。耳穴に入る指の長さなどたかが知れている。その入り込むわずかな指先が湿り気を穴の中に刷り込むかのようにねじ込まれ、くぽくぽと浅く抜き差しされると流石に堅く引きむすんでいた口から「はっ、」と息が漏れた。それを聞き漏らさない彼ではない。嬉しそうに喉奥でくっくっと笑うと、弄っていない方の耳を熱い掌で塞いでくる。そうされるともう、余計なものは一切聞こえない。ただただ響く水音は鼓膜を震わせながら脳へと伝達し、頭は勝手にそれと一番近い音の記憶へと結びつける。ただ片耳を嬲られているだけだというのに、俺は腹の奥がきゅんと、鳴いたのを確かに聴いた。

    「どうされたい?」

    意地の悪い少尉殿はそう言って笑う。俺の耳から引き抜いた指へ見せつけるように下を這わせながら。そんな卑猥な事をしていても、笑う顔はどこか幼く年相応の青年のそれに見えて、こちらの表情も緩む。

    これは駆け引きではない。ただ犬の子供同士が戯れあって噛み付きあっているようなもので。だからこの人も俺も、高鳴る鼓動も赤い顔も熱い吐息も隠さずにいるのだ。

    「鯉登少尉の御心のままに」

    そうやって今夜初めての明確な意志を伝えれば、勢いよく頭を引き寄せられ歯のぶつかるような口吸いを、今夜初めてするのだった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💞👍💞👍🌋🌋😍💲⛎🎋ℹ❣😍👍💖💞💖👏👏👏👏💕🐍🅰📈📈🇪🇪✝ℹ✝ℹ🙏🙏🙏🙏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works