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    明治鯉月ちゃんいちゃいちゃ

    #鯉月
    Koito/Tsukishima

    まるで舌舐めずりするみたいに俺のうなじをなぞったその指先を、振り払う事は簡単だ。

    「払い退けないのか?」
    「さぁ?どうでしょうか」

    曖昧な言葉で誤魔化して。敷布の上で二人、夜の帳もとっくに降りた暗い部屋に、控えめな明かりが揺れて重なり合って見える二人分の影もふわり揺らめいた。いけません、とその手を払ってさっさと立ち上がれば流石に少尉も観念するだろう。上官からの誘いを無下にした所でこの人は俺には怒らない。
    では何故にすぐ実行しない?簡単なのだろう?
    自問自答する。そんな事をしている間に調子に乗った指先はくるくると蠢いて、柔らかな耳朶の感触を楽しんでいた。そこで一度、少尉の指が離れる。彼は俺に見せつけるようにその長くてしなやかな人差し指を一本口に含んだかと思えば唾液を纏わせたそれを再び俺の耳へと向けて伸ばす。それから逃げも隠れもせずに、だからといって自分から、というわけにもいかずただただ身を固くして構えていると、少尉の濡れた指はくちゅりと湿った音を耳元で響かせる。

    「逃げないのか?」

    彼は先ほどと同じように問うた。今度は俺は答えられず、着物の裾を力一杯握りしめるばかり。
    無言を是、と受け取ったのか、それともこちらの返事は待ってなどいないのか。少尉の指は優しく、けれど明確な意思を持って動き出す。耳朶をかすめ、耳殻の凹凸を楽しむように爪を立て、そして狭い耳穴へと入り込む。耳穴に入る指の長さなどたかが知れている。その入り込むわずかな指先が湿り気を穴の中に刷り込むかのようにねじ込まれ、くぽくぽと浅く抜き差しされると流石に堅く引きむすんでいた口から「はっ、」と息が漏れた。それを聞き漏らさない彼ではない。嬉しそうに喉奥でくっくっと笑うと、弄っていない方の耳を熱い掌で塞いでくる。そうされるともう、余計なものは一切聞こえない。ただただ響く水音は鼓膜を震わせながら脳へと伝達し、頭は勝手にそれと一番近い音の記憶へと結びつける。ただ片耳を嬲られているだけだというのに、俺は腹の奥がきゅんと、鳴いたのを確かに聴いた。

    「どうされたい?」

    意地の悪い少尉殿はそう言って笑う。俺の耳から引き抜いた指へ見せつけるように下を這わせながら。そんな卑猥な事をしていても、笑う顔はどこか幼く年相応の青年のそれに見えて、こちらの表情も緩む。

    これは駆け引きではない。ただ犬の子供同士が戯れあって噛み付きあっているようなもので。だからこの人も俺も、高鳴る鼓動も赤い顔も熱い吐息も隠さずにいるのだ。

    「鯉登少尉の御心のままに」

    そうやって今夜初めての明確な意志を伝えれば、勢いよく頭を引き寄せられ歯のぶつかるような口吸いを、今夜初めてするのだった。
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    可塑chang

    DOODLE【死ネタ】鯉月が早々別離となり数十年後、鯉ちゃんが亡くなってる壮年の話。残された家族の夕べ(鯉月の二人は一度も出てきません)盛大な父の葬儀が終わり、やっと喪があけた頃。あの頃よりもほっそりとした母と静けさの目立つ居間で、庭木を見ながらお茶を飲んでいた。父が亡くなったのは快晴の春。冬の灰色からは想像もつかないような青の目立つ空の日だった。
    小池を臨む縁側は光溢れ、空の青も葉の緑も濃く、初夏の足音がする。眩い生命の庭の片隅では、大輪の白い芍薬が顔を綻ばせている。どこぞの梢でコルリがチヨイチヨイと高く鳴き、夏が来るぞと言っているようだった。まるで父の如き騒がしさだ。
    「○○ちゃん」
    母が私を呼んだ。
    「なあに母様」
    「わたし、あの人に愛されていたのかしら」
    何を言うのだろう。あれほどまでに分かりやすい愛を向ける男など、今日日父くらいしか私は知らない。陸軍将校であり、閣下と呼ばれ、厳格で忠実なあの人が、顔を綻ばせ帰ってくるのを、十数年は見てきた。
    「……どうしてそう思うの?」
    「さあ…何でかしらね……寂しいのかしら、私」
    「父様は騒がしい人だったものね。急に静かになっちゃって、きっと耳が驚いているのよ。こんなに静かなの久しぶりだって」
    「そうね……そうだといいわね」
    浅く笑う母は綺麗だ。華奢な指先、桜貝の如き爪、白 2288