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    daibread139411

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    鰤パロ ぞんび 今日の進歩

    鰤パロ ぞんび滅却師による瀞霊廷の土地の上書き(のっとり)。前回の侵攻に備える形で様々な対策を行ってきたにも関わらず、瞬きにも満たないあっという間の出来事であった。それもその筈、一部を除き絶滅したと考えていた滅却師たちは瀞霊廷の影にて見えざる帝国を築き生き延びていたのだ。警戒の薄い瀞霊廷で力を蓄え、遮魂膜を破ることなく一瞬の間に瀞霊廷を塗り替えた。

    狙ったかのように隊長格の元へ現れた星十字騎士団達にそれぞれ対応を迫られる中、六番隊副隊長────糸師凛は己の元に現れた滅却師を早々に片付け兄の元へと向かっていた。倒した先からわらわらと湧いてくる滅却師に舌打ちを零す。

    ────ウゼェな

    慣れ親しんだはずの瀞霊廷が消え去り、初めて見る街並みが広がっている。凜は道中現れる滅却師(雑魚)を倒しながら霊圧を頼りに見知らぬ街を進んでいた。先程現世、いや虚圏にいた筈のオリヴァ・愛空から天挺空羅によって齎された情報。それによれば、奪われた卍解を取り戻す手段を手に入れたらしい。卍解を一瞬虚化させることで、虚に一切の耐性を持たない滅却師共に毒を打つ。少々回りくどい言い回しの愛空と分析型の論理的な二子の長ったらしい説明はよく分からなかったが、大枠は理解できた。であれば。その瞬間、自身が目印としている慣れ親しんだ霊圧が爆ぜた。兄————糸師冴、六番隊隊長の卍解だ。しかし、どうにも。目の前に見えるのは兄の美しい夏の夕暮れのような炎ではなく、凍てつくような温度の感じない青い焔。

    ———滅却師だ。

    滅却師による初めの侵略。その際、自身は卍解が奪われる光景を目の当たりにした訳ではない。そもそも、その場にいて兄の卍解を奪わせるような愚行を犯すわけがない。一つ言ってやらねば気が済まぬ、そう詰め寄った先の隊員たちが、確かそう、言っていた筈。
    ————糸師冴の美しい朱雀が青になり、彼奴らに使われた、と。


    「……っ」

    すぐさま瞬歩を使用し、兄の元へと駆け付ける。目の前に広がるのは、いけ好かない笑みを浮かべた滅却師に相対するよう、こちらに背を向けた糸師冴の姿。見たところ立ってはいる。が、後ろ姿では状況が確認できない。一方、滅却師がその背に背負うのは兄とは似ても似つかない、青く冷たい朱雀。————未だ、卍解は戻っていない。兄の安否は確認できなくとも思わしくない状況であることは解る。自身の斬魄刀を握り、解号を口ずさむ、その瞬間であった。


    「自分の卍解に殺されるんだ!悔いはねえよなあ!?」
    「っ全て壊せ————」

    「—————テメェなんぞに扱えるわけねェだろうが。
    ————なあ、晩夏候・朱雀丸」


    滅却師の背に生えていた翼が消える。代わりに兄の背には見慣れた、美しい赤い焔。


    「っな!卍解が!」
    「兄ちゃ…!」


    凜はその瞳に小さく光を宿す。奪われた兄の卍解が無事に手元に戻ったようだ。説明の通り、虚の気配は感じるものの、先程までのように憎き滅却師によって使われている気配はない。


    「壊れるのはテメェだ、カス」


    ————赤く美しい斬魄刀を振れば、呼応するかのように背後の朱雀が一鳴き。それと同時に、同じように美しい焔が爆ぜる。その夏の夕暮れのような、深い、何処か不気味ささえ感じる赤く美しい焔が瞬く間に滅却師を包んだ。悲鳴を上げる暇さえないほど、一瞬にしてかの滅却師を包み込んだ焔が、産まれた時と同じように、冴の一振りによって消える。その場に残るのは、滅却師であった筈の灰と、朱雀の羽。
    羽だけを拾い、背後の朱雀に与えた冴は、その光景に見惚れるように突っ立っていた凜と目を合わせた。


    「何の用だ、愚弟」
    「…………緊急事態に隊長と合流するのは当たり前だろ」
    「ハッ、お前が常識を語るなんて明日には槍でも降るか」
    「…うるせェ」


    足元に転がる滅却師だった筈のモノを改めて確認し息を吐く。咄嗟の不意打ちで卍解こそ奪われたものの、糸師冴は強い。卍解を奪い返す前から相手と互角、いや圧していたのだろう。汚れひとつない死覇装が物語っていた。顔に付く、虚の仮面が鬱陶しいのであろうか、頭を振り斬魄刀を鞘へと戻した冴は凜に向き合い話を続ける。


    「ここが敵の本拠地か。随分と見ずぼらしいもんだな。」
    「…敵の本拠地?」
    「んなことも分かんねぇのか」
    「…チッ」


    分かるわけねェだろ、そう言わんと顔を顰めた弟の様子に深いため息をつく。戦闘に関しては随一の頭脳と才を持つこの愚弟は、勉学がそれはもう苦手であった。自身も戦闘以外に関係のない知識は不要、その考えを持ってはいるが。それにしても此奴は酷い。自身の事を棚に上げ、どんどんと不機嫌になっていく弟に息を吐いた。


    「ハア、勝手に自分が移動させられたような感覚は?」
    「………ない」
    「前回の侵略で他の死神連中が邸内に仕掛けをしていたことは?」
    「……知ってる」
    「前回だってそうだ。遮魂膜が破られたんなら技術開発局の連中らがさっさと連絡寄越すに決まってるのにも関わらず二度目の奇襲。且つ移動した形成がないにも関わらず設置された筈の細工は発動しねぇ。加えてこの街並み、どう考えても瀞霊廷じゃない。大方、内部にとっくに侵入されて、機会を伺われてたんだろ」
    「は…」


    言葉を失う。内部に侵入されていた、なんて。
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