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    pika_pikaidol

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    pika_pikaidol

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    ソナーズにあげたやつ全体版。感想貰えて満足したのでこっちにも。捏造過多。年齢操作注意。

    #シンユウ
    chineseYuan

    【シンユウ】最終話:ハッピーエンド「ブラック……!」
     何年、何十年、真っ暗な世界にいたのだろう。記憶も薄れるような世界の中、俺は光を見た。自分と引き換えに園児たちを帰したあと、一度も見えなかった希望。あの日、何度も俺の名前を呼んで、泣いて、諦めようとしなかった彼がそこにいた。お面は無い。マントも無い。けれど、呼び方も、面影も、全てヒーローになりたいと言っていた彼だった。
     出し方を忘れたはずの声が、彼の名前を呼ぶ。
    「……シンタ……?シンタ、なのか?」
    「そうだ!レッドが、みんなのヒーローのシンタだ!迎えに来たぞ!」
     手を伸ばされる。でも、俺は、その手を掴むのを躊躇する。怖い。その手を掴むのが、その手を掴む選択をするのが、怖い。
    「帰るぞ、ブラック!全員で無事に帰るまでが、遠足だろ!」
    「でも、俺は……」
    「大丈夫だ!」
     シンタが笑う。笑った顔は、毎日のように見ていた"レッド"の顔と同じだった。
    「何があっても、絶対に、オレがブラックを守るから!」
     その言葉を聞いて、俺はやっと手を伸ばした。掴まれた手は大きくて、記憶のシンタよりも成長していることに、泣きそうになった。

     こうして、俺は、ヒーローに救われた。

     助けられたあと、少し意識を失っている間にゆぅろぴあからの脱出は終わっていた。目が覚めた時、周りにはあの日帰らせることができた園児たちがいた。成長して大人びたみんなが、俺を囲んで泣いているのは変な気分だった。
     そんな中、マスクをして帽子を被っている彼が俺の傍に近寄る。ハヤテ、と呼べば、目を一瞬潤ませたあと、俺に真実を伝えた。
    「岡田は今、ここの世界からは忘れられている」
    「……まぁそんなことだろうとは思っていたけど」
    「ルミ先生の記憶も曖昧だし、保育園の記録からも抹消されている。家も、戸籍も、全てだ」
    「……そっかぁ」
     なんとなく、なんとなく、わかっていたことだった。俺が昔ゆぅろぴあに行った記憶が無かったのも、
    「いいのか、岡田」
    「両親が亡くなっててよかったなぁ、って初めて思ったくらい。だから、大丈夫。……ハヤテ、心配してくれてありがとう」
    「……これくらい、当たり前だ」
     頭を撫でると、抵抗もなく撫でられるだけだった。……ぶっきらぼうなところは変わってない。でも、俺のことを心配してくれるなんて、少しは変わったのかもしれない。
    「……ブラック、これからどうするんだ?」
    「……いやぁ、どうしようかな」
     シンタに問われ、俺はへらりと笑う。戸籍も家も無い俺が、これからどうしたらいいか正直わからなかった。――それなら、ゆぅろぴあの中に閉じ込められていたほうが良かったんじゃないか、と思ってしまうくらいで。
    「いる場所がないなら、……その、あのさ、」
    「どうした?シンタ」
     俯いたまま、言うか言わないか悩むシンタに声をかける。覚悟を決めたのか、彼が俺の手を取り、叫ぶように言った。顔は、いつか付けていたお面のように真っ赤だった。
    「オレの家に来ないかっ!?」
    「……えっ!?」
     周りの目が、なんだか生暖かいものだったのは気のせいだろうか。空気に流されるまま、俺はシンタの家に行くことになった。



    「お、おじゃましまーす」
    「適当に座っててくれ、ブラック」
     シンタの家は、アパートの一室だった。適当に、と言われてもわからず、椅子に座る。
    「……シンタはもう一人暮らししてるのか?」
    「あぁ!……オレ、今大学通ってるから」
    「…………だいがく…………」
     衝撃が走った。俺が閉じ込められて、歳をとった感覚が無い中、シンタたちはもう大人になっていたなんて。ショックを受ける俺の前に、コップが置かれる。
    「麦茶しかないけど、麦茶で大丈夫か?」
    「うん、大丈夫。そっか……大学か……」
     出された麦茶を一口飲む。――飲む、という感覚すら久しぶりだった。
     シンタが、俺の真横に座る。どうして横に座ったのか、少しも考えなかった。
    「なぁ、ブラッ……ユウ、先生」
    「……シンタ?」
    「抱きしめてもいい、か?」
    「……えっ、抱き……」
     彼の顔を見ると、真剣で、冗談とは思えなかった。
    「ユウ先生が、ここに本当にいるか、確かめさせてくれ」
     


    「…………」
    「…………」
     シンタに抱きしめられてから、数分が経った。俺も、シンタも何も言わない。ただ、人の体に触れるのが久しぶりだから、どれくらいの力加減がいいのかが分からない。
    「……大きく、なったなぁ……」
     ポツリ、俺は呟く。俺の後ろを歩いていたシンタが、今では俺をすっぽり抱きしめられるほどだ。
    「……っ、う、……うぇ……」
    「……!?シ、シンタ!?どうした!?」
     変な声がシンタから聞こえた。慌てて体を離そうとした、が抱きしめられた体はビクともしなかった。
    「……ブラック……っ、ブラックぅ……っ!」
    「泣いて、いるのか……?」
     俺の肩が濡れていく。シンタが俺を抱きしめながら涙を零していく。
    「おれがっ、オレが!弱虫だったから、っ!ブラックを、ユウ先生を……助けられなくて……っ!ずっと、ずっと後悔してた……っ……怖かった……!ユウ先生を、忘れるのが怖かった……っ、ぅう……!」
     みんなのために、と決断したことが、シンタの重荷になっていた。彼はずっと、誰もが忘れかけた俺を助けようと必死で今日まで生きてきた。そして、俺が出来なかった全員での脱出をやり遂げた。――なんて俺は幸せものだろうか。
     離れようとしていた腕を、シンタの背中にまわす。とん、とん、と泣き止ませるように撫でる。
    「そんなことないよ、シンタ」
    「……ぶらっく」
    「だって、お前は、俺のこと助けに来てくれたじゃないか」
    「……!」
    「ありがとう、シンタ。シンタは俺のヒーローだよ」
    「ユウ、せんせい」
    「……もちろん、助けに来てくれたみんなヒーローだけど」
    「あぁ!オレたち、あじさい保育園戦隊の勝利だ!」
     笑い声がして、俺の心も落ち着く。あぁ、言わないといけないことがあったんだった。
    「あと、俺はもう先生じゃないよ」
    「……じゃあ…………ユウ?」
    「呼び捨てかぁ」
    「ははっ、もうほぼ同年代だから!……じゃあオレ、夕飯の準備してくる!」
     そう言って体を離して、見せたヒーローの顔は笑顔だった。

    最終話:ハッピーエンド

    「あぁ、あとオレ、ユウを落とすつもりだから!」
    「マジかぁ」

    to be continued…?
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    riza

    PROGRESS【エメ光♀】おっぱい揉む?の言語化

    頭割りのなんかになるかもしれない
    なったらいいね なったらいいな
    これはいずれ自分のために成すとは決めてるものなんだけどいかんせんファンフェスの内容次第で気が狂ったら全く別の何かを成す可能性もあるからな…
    いつものミコッテヒカセン
    ※※※


     うなだれたエメトセルクからはどことなく潮の香りがして、濡れてもいないのに海の気配がした。
     だから、潮溜まりにでもうっかり浸かってへこんでいるのかなと一瞬考えて、そんなことはないだろうと思い直す。わたしじゃあるまいし、このアシエンが自らあてもなく海辺をうろつくところからして想像するのがむずかしい。それにきっと海に落ちて濡れたって、彼ならパチンとやってすぐさま乾かしてしまえる。
     なのに、ぽとりとひとしずく、水の粒が落ちたのだ。
     やっぱりびしょ濡れになるような何かがあったのかもしれない。少ししっとりしているように見えなくもない、一房だけ白いその髪から水気の名残が落ちたのかもしれない。下から覗き込んだ顔の表情はほとんど無に近くて、白っぽい金色の瞳が潤んでいる様子もない。
     それなのに、泣いているのかなと、思ってしまった。
     泣くような何かがあったんだろうか。
     泣くような何かを、わたしがしたんだろうか。
     どうしてきみがそんな顔するんだ。
    「困ったな」
     思わず──そう、思わず、無意識に。
    「どうしてきみがそんな顔するんだ」
     そのままの言葉がぽろ 1691