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    妄言/さんば

    @imvhana_ku

    京浮垢

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    妄言/さんば

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    京浮っぽいなにか

    優越 握られた手が温かくて、握られていない方の手が寂しく冷たい。
    「おはよう。今日の体調はどう?」
     御簾から差し込む光が背中から差し表情は見えないがそれでも――
     いい男だな、と思った。


     気づいたことがあるのだ。
     自他共に軽佻浮薄と形容されて久しいが、誰よりも先を見据える思慮深さを持っている男は女遊びは派手だったが立つ鳥跡を濁さずと言ったものだった。
     女ならば誰彼構わず尻を追いかける姿がないわけではないのだが、お互いに遊びの線引きを理解しており、声をかける相手が一体どこまでを許容し何処から許容しないのかを見据える目があった。
     遊びを弁えているというか、決定的に仲を悪くするようなことはなく一言で言うのならば立ち回りがうまかった。
     誰と誰とが付き合っている、あそこは別れた。もうすぐに告白をする予定だ――休憩時間や昼食の時間に仕入れた情報や目配せから意味するものを読み取り、観察し、全て自分の利にしていく。
     手が、顕著だった。
     軽薄な言葉で女の膝や胸を求めても、手は決して合意なしには触れようとしない。
     花を持つ手が、そっと髪に花をさすこともなく。
     口説く唇が、肌に触れることもない。
     女の嫋やかな手を取る事もせず、ましてや抱き上げる事もなかった。


    「浮竹、どうしたの。熱は下がったって聞いたから、面会に来たんだけど……まだ早かったかな」
     骨太のごつごつとした厚い手が離れていこうとするのを指を曲げて阻むと、困ったように眉を下げてそれでも逃げるのをやめた。
    「いい……会いたかった」
     お前が唯一、許しを得ずに触れる相手が自分だけしかいないと知れた時胸に渦巻いた感情に名をつけるとするならば、それは
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