好き好き大好き好きな惣菜発表ドラゴンと浮竹隊長
数日前から雨乾堂には今までにないものが存在している。
いつのまにか育った――と、雨乾堂の主人は考えている人の背丈を超える鯉とともにそれは仲良くしているようだった。
梅雨明けの次は台風の季節。その前に燦々と降りしきる夏の日差しが眩しく、京楽の目を焼くとともにその熱気に負けないような元気な声が雨乾堂ので入り口に垂らされた御簾の奥から聞こえてきた。
「からあげ!」
『油淋鶏!』
「竜田揚げ!」
『とり天!』
「五香粉も漬け込んだやつ!」
「それはジーパイなんだけど、君たちの胃袋の引き出しどうなってんのさ」
ざらりと簾を捲り上げる音をさせ、わずかな清涼感のある屋内に顔を覗かせれば一人と一匹のドラゴンがニコニコと料理のレシピ本を覗いていた。
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