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    85_yako_p

    カプ入り乱れの雑多です。
    昔の話は解釈違いも記念にあげてます。
    作品全部に捏造があると思ってください。

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    85_yako_p

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    タケルと漣(カプ未満)
    100本チャレンジその17(2022/01/31)

    ##100本チャレンジ
    ##カプなし
    ##大河タケル
    ##牙崎漣

    太陽を掴んでしまった「太陽みたいだな、オマエ」
     みたいもなにも、結果は陽性だったのだからコイツは紛う事なき『太陽』だ。『太陽』というのは俗称で、本当はカタカナのたくさん並んだ名前がついていたけれど、俺は正式名称を覚えていない。ただ、そういう現象──いや、病気があるというのはずいぶんと周知されていた。
     太陽。なんというか、神秘的でやかましい病気だった。きらきら、というよりはぎらぎらと、煌々と髪が光るのだ。目を焼くほどの圧倒的な光量で、自然発火しない程度の熱を発する。太陽なんて大層な名前に怯んでいると、拍子抜けするような、そういう病気。日本人の発症は少ないが、それは髪が黒いケースが多いからなのだろう。コイツみたいな銀の髪が煌々と燃えるのは、なんだかちょっとかっこよかった。
     なにも四六時中輝いているわけじゃない。眠るとコイツは光り出す。コイツが眠って脳の何割かが真っ暗になると、途端に髪が燃え上がる。事務所で圧倒的な光量を放っていたコイツはすぐにプロデューサーに捕獲されそうになったが逃げ出した。俺たちが探し当てたときにはそれはもう不機嫌な顔をして、別に病院に行ってもなにも変わらないと、一言だけ口にしたんだっけ。
     太陽は不治の病、というよりは未知の病だ。ただ光ってあったかくなるだけの病気には、特効薬も治癒薬も存在していない。研究する人はいるだろうけど、現状での対処は棺桶みたいな遮光箱に入って眠ることしかないだろう。実際、そういう箱はもう発売されていて、いろんな形やデザインが出ている。
     事務所にも箱がひとつ、置かれた。アイツが見つからないときはそれを開ける。十中八九、世界の始まりみたいな光量が俺を迎えて、ああ、サングラスとかを買うべきか、とか、そういうことを思わせる。
    「似合うんだか、似合わないんだか……」
     俺の家にも箱を置いた。外で眠れなくなったコイツはたまに、本当にたまにやってきて箱で眠る。
     カーテンを閉めて箱を開ける。暴力的な光が目を焼くから、直視しないようにして触れてみる。ぐにゃりとしたコイツのからだに触れて、喉を撫でて、髪に辿り着く。火傷するかしないかの温度に手を浸して、絶えない光を見て、ちょっとだけ良い気分になる。
     誰かに髪を触られるのが嫌いだから、事務所で髪を触るとコイツは起きるんだ。だけど、例えば円城寺さんの家とか、俺の家だと、髪を触っても目覚めることはない。きっと油断してるんだろう。きっと俺や円城寺さんは許されている。触れて、熱を感じても衰えることのない光が、証明のように俺の目を焼こうと輝いている。限られた人間しか触れることのできない太陽が、狭い部屋の小さな箱に収まって俺の手のひらを熱していた。
     この暴力的な光はコイツに似合わなくもないけれど、眠っているコイツは結構静かだったと思うんだよな。雲に隠れた月よりもひっそりとしていて、ようやく拾い上げられる白くてきれいな石みたいな、そういう表情も確かにあったはずなんだ。
     眠るコイツの顔を見る。眩しくてよく見えない。こんなことになるまでコイツの寝顔なんてじっくり見たことがないもんだから、コイツの寝顔はどんどんイメージだけのものになる。あるはずのない記憶がぽこりとわき上がって、見たこともない月明かりを想像させる。
    「……静かだったと、思うんだけどな」
     薬が出たら確かめてみようか。早く薬ができたらいい。
     でも、それは例えば「好きなゲームの新作が出たら嬉しい」くらいの願望で、どうしようもない衝動にはなりきれないふわふわとしたものだった。
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    85_yako_p

    DONE「秀の部屋に遊びに来たら百々人の載っている雑誌を集めているのが分かり、ふーんこの子僕のこと好きなのかも🎶って思って聞いてみたら『顔……っ、顔がめちゃくちゃ好みで……‼️』ってほんとに恥ずかしそうなファンの表情で言われてしまって……⁉️」な百々→(←)秀。
    というお題をあしはらさんから頂いたので、書きました!タイトルもあしはらさんにつけてもらいました。(2025/9/15)
    皮相観 しゅーくんはきっと僕のことが好き。
     本当かどうかなんてわからないけれど、そうだったらいいなって思ってる。
     だから僕は彼が見せるいろんなことを好き勝手に解釈して、組み替えて、構築して、自分勝手にしゅーくんの心を定義づける。だってしゅーくんはテレビに映る僕を熱っぽい目で見つめているし、僕が微笑めば耳を少し赤くして見せる。みのりさんに写真をもらっていることだって、僕は知っているんだから。
     自惚れたことなんて人生で一回もないんだから一度くらいいいじゃないか。そう思って、やめられないでいる。怒られたらやめるつもりだけれどバレるつもりもない。
     例えば授業中、窓越しにボールが高く高く飛んでいくのを見た時なんかに、ふと考えて微笑む、みたいな。益体のない、かわいらしいもの。
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