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    風邪気味の読ロが読ドの城で過ごす話し…
    やっつけみたいになってしまったがひとまずこれで!
    いつか加筆修正するかも…

    #読ドロ
    oscillatoria
    #0122ここ千
    0122kokoSen

    離れたくなかった 妙に暑いな、と思ったのはコイツの城に来てから数時間経った頃だった。暑すぎても寒すぎてもすぐに死ぬ吸血鬼が普段と変わらぬ様相で過ごしているということは、恐らく自身に問題があるんだろうと思い至ったのは先程まで感じていた暑さが悪寒へと変わった頃だった。
     なるほど、これは風邪を引いたか…種族の違うコイツにはうつることはないと思うが早めにお暇しよう、と一緒に遊んでいたゲームも丁度セーブポイントが見えていたので吸血鬼がセーブするのを見届けてすぐ立ち上がる…つもりだった。実際セーブしたところまでを見届けじゃあ、と声を発する途中ソファの肘掛けに重心を置き立ち上がりかけたところで支えきれなく崩れ落ちた。隣りに座っていた貧弱な吸血鬼はその振動に驚いて本日自称初の死を迎えたが、再生に時間かかっているところを見るにニ回目だなこりゃ。
    「は、退治人ハンターくんどうしたの?大丈夫?」
     ゆっくりとした再生だが確実に姿を取り戻していく吸血鬼ドラルクは崩れ落ちたままの俺を心配そうな顔で覗き込んでいた。
     大丈夫だ、問題ない。昔どこかで聞いたことのあるゲームのセリフが思わず出そうになったがそんな軽い冗談も言える余裕もないくらいの目眩に襲われ視界が暗い。言葉を発しようにもぐるぐると回る視界と吐き気に邪魔をされうまく紡げなかった。そんな様子に異変を感じたのか隣の吸血鬼はどうしよう、具合が悪かったのかと慌てふためき俺の背を擦りながら寒くはないか、横になれるか、毛布もってこうよかと矢継ぎ早に質問してくるがまだ上手く答えられそうもない。代わりになんとか絞り出した声で「これが良い」と掴んだドラルクのマントを奪い取りソファで猫のように包まった。
    「具合が悪いのに気付かなくてごめんね…今客間のベッド整えてくるから少し待っててもらえるかな?」
    「自分の体調管理も出来てなかった俺が悪いから気にすんな…とりあえず帰る」
    「なに言ってるの、この状態で帰せるわけ無いでしょ。君、今異様に熱いしこれからまだ熱上がりそうだよ?道中で倒れられても助けられないからここにいて」
    「でもカボとノコが」
    「彼らには連絡入れておくから!君はここで療養して」
     俺の言いたいことを予測していたかのように被せてきたドラルクは、使い魔のジョンを見張りとしてそばに置いてすぐに戻るからね、と出て行ってしまった。こういう時だけは行動が早い…いまだに背中を走る寒さに身を震わせ奪い取ったマントの裾をぎゅっと握り締めるとヌーという鳴き声と共にジョンが俺の頭を撫で始めた。まだマジロ語をマスターしていないが全ては分からずともその行動と声色で心配されていることは分かる。「ありがとな」と礼を言い軽く目を瞑った。

    「退治人くんお待たせ、準備出来たよ」
     そんな声が遠くで聞こえた気がして薄く目を開く。
     あのあと少し眠っていたらしく、頭がぼーっとする。心なしか先程まで感じていなかった頭痛もある、気がする。
    「あ~…やっぱり上がってきちゃったか。大丈夫?歩けそう?」
    「なんでお前、そんな手慣れてんだよ…」
    「そりゃ吸血鬼だもの、おもてなしは得意だよ。更に人間の生態についても勉強はしたし、実際に看病はやったことはないけど退治人くんのお世話ができるって思ったら楽しみで」
     にぱーっと笑顔で言いきられて思わずあ然としたが、なるほど、コイツ楽しんでやがるのか…面白くねぇ。
    「やっぱ帰る」
     先程と違ってすくっと立ち上がってみせたロナルドはハンガーに掛けていた自分の外套を掴んだ。手元が少し覚束ないがまだ自力で帰れる範疇だろうと頭の片隅で帰路を計算しながら準備していると「待って!楽しんでしまったのは本当だから謝るし、これを気にいつも甘えてくれない君を甘やかせるかもって期待してしまったのも私だから申し訳ないんだけど、ちゃんと、真面目に看病するから帰らないでー!」と泣きながら縋られてしまっては身動き取れない。心の声がダダ漏れじゃん…と思いながらも本心で話してくれたことに絆されたのか表情はムスッとした、疑うような目付きのまま「…早く部屋に連れて行け」と客間への案内を頼んだ。

    「君が苦しんでいたのに楽しんでしまってごめんね…」
     整えられたベッドの上で寒さに震えながら布団を抱えて丸まっている俺を撫でながらドラルクは呟いた。ぺしょっとたれた耳の先が砂になりかけているのは気の所為か…気の所為だな。
    「どうしてもね、君の看病をしたかったんだ。愉悦のためではなく、いつも頑張ってる君を労うものとして沢山甘えてもらって、ここに君を脅かす者はいないと安心してほしかったんだけど…」
    「別にそこまで怒っちゃいねーよ。ただ…いや、なんでもねぇ」
    「そこで区切られたら気になるでしょ!」
     なんでもするから許してよー!とそばで泣く吸血鬼に、お前との時間が少なくなるのがもったいなくて体調悪いのを見て見ぬふりふりしてたっていう“甘え”を教えてやろうか悩んだ末に、面白いから黙っとこうと布団を深く被りくつくつと笑うのだった。
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