王子×黒百合空はよく晴れている。雲ひとつない快晴だ。こんな日は外に出て、動物達と過ごしたり花を愛でたいものだが、あいにく今日は外に出られるような暇は無い。仕方が無いから、窓から眺めるだけで我慢することにしよう。
「冬弥様。それでは、私はここで。また後ほどお迎えにあがります。」
「あぁ。」
扉が閉まり、ようやくできた1人の時間に息を吐く。
今日のスケジュールはあまりにハードだ。お偉方との会談に、次の舞踏会に向けての服の採寸やらデザイン相談。午後は、隣国への訪問。その他にも夜までぎっしりだ。
今は、父さんや兄達が繁忙期だから細かなことはこちらに回ってきているのだ。毎年この時期はこうだが、いつまでたっても慣れない。
「……」
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