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    oishi_mattya

    気まぐれに追加される抹茶のSS倉庫
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    (よそのこ及び親御さんいつもありがとうございます)

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    oishi_mattya

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    正イデネタバレ 不定中の弊ほよんの話

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    oishi_mattya

    MOURNINGこう→りお&しょうひか前提幸司君と光理ちゃん「俺、姐さんのこと好きだったんですよ」
     いつものように交番に顔を出した中屋敷君が、妙に吹っ切れた顔でそんなことを言った。
    「十七の時かなあ、俺ちょっとだけ今よりスレてて、俺の話をまともに聞くやつなんていないよな。って思ってたんです。……でも、姐さんは違った。俺の話聞いてくれたし、聞いたうえで叱ってくれた」
    「それが仕事だからね」
    「はい。仕事でした。でも、それは俺にとって初めてのことで、すっごい嬉しくて、……この人のことが本気で好きだなって思ったんですよ」
     ……でも、ガキだったから結局告らずに終わりにしたんですよね~。世間話をするようにそう結んだ中屋敷君に何も言えなくて「そっか」とだけ返した。
    「そういえば、中屋敷君は私のこと「唯崎さん」って呼んでたね。すぐに「唯崎姐さん」になったから忘れてたけど」
    「……だって、「ねえさん」に恋はできないじゃないですか。姐さんが鈍感で助かりましたよ。ホント」
    「鈍感……。否定はしないけど、直球で言われると傷つくな……」
    「傷ついてください。だって、俺があの時告っても姐さん断ったでしょ?」
     にこにこと笑いながら言う中屋敷君に溜め息を吐いてしまう。 2389

    a_la_do

    DONE2021 うちよそバレンタイン
    Variations−Chatons et papillons

    ラズルーカと白雪くんと、それを見守る一人の編集者の話

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    consacrer au sort d’une journée enneigée

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    子猫と蝶のヴァリアシオン


    「と、言うわけで、こちらが完成したお品でございます」

    小さな白い紙袋を両手でうやうやしく差し出しながら、ラズの向かいに座った男は頭を垂れた。
    作家先生ご自宅のリビング、十四時半、打ち合わせ。
    作家先生、こと、ラズルーカはただでさえ寄り気味の眉根をぐっと近づけて不快感をあらわにした。

    「そういう茶番は要らない」

    本を渡すくらい普通にやれ、と、差し出された紙袋をぱっと奪い取る。男は、空中に浮いたまま所在なくなった手をにぎにぎと開け閉じしながら、さも悲しげな様子でため息をついた。

    「つれないなぁ、ラズ先生は」
    「シリュウは喧しい」

    シリュウ、と呼ばれた青年は、心外だと言わんばかりに片眉をひょいとあげ、先生ひどい、と文句を垂れる。が、ラズは知らん顔だ。聞こえていないのか聞こえていないことにしているのか、不機嫌そうな顔のまま紙袋の中身を検めはじめる。
    紙袋の中身は小さな絵本だ。ラズはその一ページずつを、端々までを丁寧に目を通していく。
    まったく相手にされないだけでなく、真面目に仕事を始めてしまった作家先生を前に、シリュウはやれやれとため息をついた。

    ラズ 6285