愛し君へ その日は何時もと何かが違っていた。何が?と聞かれると、明確には答えられないのだが。悪い予感とも違う、空気がざわめく様なそんな雰囲気だった。それは夜がふけるにつれ強くなっている気がした。
チラチラと此方を伺う視線に目をやればいきなり水をぶっかけられ、犯人であるベビー5達を追いかけ回した拍子に足を滑らせ腰を強く打つ。痛みに眉を寄せていれば、離れた場所で舌を出し笑う姿が見えた。
年相応に笑っていて欲しい。
ただ、それだけを願って見守ってきた。略奪も暴力も知らない世界で、子供は笑っているべきだと思っていたが、叶わないのならせめて、おれの目の届く範囲だけでもと。
「何やってんだよ、コラさん。また転んだのか」
溜息混じりの呆れた声に目線を向ける。夜の鍛錬を終えたらしいローが呆れた様子で隣に立っていた。
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